「スーパーマリオはディズニーにとって悪夢になる。『アナと雪の女王』の興行収入を超えるかもしれない」

 米映画専門サイトがそんな見方をするほど、今、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が世界を席巻している。

 映画公開初日から5日間の米国内での興行収入は、2009年の「トランスフォーマーズ:レベンジ・オブ・ザ・フォールン」の記録2億ドルを超え、米国史上最高の2億40万ドルを達成。アニメ映画部門でも、それまで米国で興行収入が最高だった「インクレディブルズ2」の1億8200万ドルを抜いた。2023年に公開された映画の興行収入としては、 それまで最高だった『アントマン&ワスプ:クアントマニア』を抜いて、国内外ともに最高の興行収入をあげている。もちろん、ビデオゲーム発の映画としては史上最高だ。

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 世界での興行収入は公開後から4月24日までに、8億7640万ドル(米国で4億3430万ドル、米国外で4億4210万ドル)と円換算では1000億円を超え、10億ドル超えするのも時間の問題だ。

 次々と記録を塗り替えている「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」。なぜここまでの爆発的ヒットになっているのか?

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』HPより引用

カルト的なファンを生み出した“マリオの人間臭さ”

 最大の理由は、マリオが1985年に誕生して以降、長きにわたって世界的に愛されてきたことにあるだろう。米国では、ビデオゲームのキャラクターの中ではマリオが疑いもなく一番ビッグだと言われている。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』HPより引用

 米国で人気を得ているのは、マリオが米国のアニメに登場する絵に描いたような強靭でクールなヒーローとは違い、どこにでもいそうな親しみが持てるキャラだからだ。パスタを食べるのが大好きな、ずんぐりむっくりしたハッピーなイタリア人配管工のマリオは決して常に強いわけではないし、ドジっ子ぶりを発揮することもある。ロマンティックなところもあれば、センチメンタルになったりもする。妬んだり、腹黒かったりする一面もある。しかし、思いやりがあり、正義感は人一倍強い。人が持つ様々な側面を見せるマリオの人間臭さが米国の人々の目には新鮮に映り、カルト的なファンを生み出してきたように思われる。