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 一方で、批判的な見方もあがっている。映画は“anti-woke(アンチ・ウォーク)”だというのだ。wokeはwake=目覚めているの過去分詞で、社会正義や人種差別問題などに対して目覚めている=意識が高いことを意味する。そのアンチ、つまり、社会正義や人種差別意識に欠けているというのである。具体的には、白人俳優のクリス・プラットがイタリア系であるマリオの声に抜擢されたり、アメリカで20%を占めるヒスパニック系アメリカ人がキャスティングされなかったことが疑問視されたりしている。ハリウッドの映画界が白人優位社会である問題は前から指摘されていたが、スーパーマリオの映画のキャスティングについても、同様の批判がなされたわけだ。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』HPより引用

 しかし同時に「映画は“anti-woke”だとは思わない。映画はビデオゲームのように非政治的に作られているんだよ」と擁護する声もあがっている。映画が“anti-woke”か否かが議論されるのは多様化を重視しているアメリカらしいが、こういった議論が行われていることも人々の注目を集め、「映画が大成功したのは”anti-woke”だからだ」と指摘するメディアもある。

映画の挿入歌もアカデミー賞に相応しいと評判に

 映画の挿入歌も好評だ。クッパが歌う「ピーチス」という歌は、早くも、ビルボードの83位に浮上、580万回以上もストリーミングされた。アニメニュースサイト“カートゥーン・ニュース・ネットワーク”は、この歌はアカデミー賞の“ベスト・オリジナル・ソング”に選ばれるに相応しいと太鼓判を押している。

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『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』HPより引用

 映画は、「怪盗グルーの月泥棒“Despicable Me” 」や「Sing/シング」を手掛けたアニメ映画の製作で著名なイルミネーション社が任天堂とコラボして製作されたが、映像の完成度の高さも評価されており、映画評論サイト「ロッテン・トマトス」には「3D技術が素晴らしい。鮮明で、カラフルだ」「驚くほど美しい」「ゴージャスだ。最近の映画の中でも、カラフルで独特な世界が作り上げられている」などの声があがっている。

 誕生から38年。3Dアニメになって日本に戻ってくるマリオは、生まれ故郷でも大旋風を巻き起こすに違いない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。