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東京オリンピックを意識していたチェコ代表

 当時、地元メディア「Pražský deník.cz」のインタビューで、弱冠21歳の彼はこう答えている。

「チェコが2020東京オリンピックに出場する可能性を僕は信じています。ヨーロッパでの最大のライバルはイタリアとオランダ。チェコが彼らに追いつき、追い越すには5年はかかると思います。野球をもっと普及させたい。そのために東京オリンピックは最高の機会となるでしょう」

 チェコ代表が日本を目指していたのは今回のWBCだけではなかった。東京オリンピック出場こそ叶わなかったが、コロナ禍を経て、たしかにチェコ代表はイタリア、オランダと肩を並べるところまできた。そして、今季ノヴァークは、現在下部リーグに降格しているコトラーシュカ・プラハに復帰する。

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 ここから始まるノヴァークとコトラーシュカの第2章が楽しみだ。

左から、捕手のヴァヴルシャ、投手のパディシャークとノヴァーク(コトラーシュカ・プラハのインスタグラムより)

 

チェコの野球に足りないのは「競技人口」と「新幹線」

 多彩なキャリアを経験したノヴァーク。今のチェコの野球に足りないものを聞いてみた。

「やはり競技人口だと思う。多くの人が野球をプレイするようになればほとんどの問題が解決する。選手の質も、経済面も。でも長い目で見ると改善されてきているよ。設備も整ってきているし、今回のWBCで多くの人に認知してもらえたから、次の動きも生まれるだろう」

 しばらくしてこう付け加えた。

「そうだ、チェコの野球に足りないもの、それは新幹線だ! 日本の新幹線がチェコにあれば……。週末の試合のために、片道だけで5時間かかることもある。これだけはみんな嫌がっているからね」

 チェコでは週末に車で移動すると、しばしば渋滞に遭遇する。首都プラハからチェコ東部のオストラヴァまでは350kmあり、渋滞がなくても4時間近くかかる。無駄が嫌いで、新しいテクノロジーが大好きなチェコ人には新幹線のファンも多い。

「日本には好きなものが多すぎて、書き出したら本当に長いリストになってしまう。ラーメン、餃子、それに魚は味も品質もチェコとは比べようもない。お茶がどこでも手に入るのがとてもいい。コンビニで売っているような、無糖のおいしい緑茶を探すのは、チェコではとっても難しいんだから」

 この前日はうどんを食べたという。宮崎で山間部に住む友人を訪ねたときには、炊き立てのお米と季節の味覚であるたけのこを食べた、とうっとりした表情で教えてくれた。