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「チェコの野球はどこまで進化する?」日本に2ヶ月間滞在したWBC代表“チェコのドカベン”に聞いてみた

2023/04/30
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 そういえば、ノヴァークのインスタグラムのストーリーに、山並みに囲まれ、夕暮れに近い空の下、まだ水の張られていない田んぼでキャッチボールをする写真が上がっていたことがあった。彼らが自然の中で豊かな時間を過ごしたことが伝わる美しい写真だった。

「お土産はこの後まとめて買うつもりだよ。野球のグローブは手配している。あとは無印良品で過ごす時間があるといいな、あの空間は落ち着くから」

3年後、次のWBCでは「先発で投げたい」

 話しやすく柔和な印象のノヴァークだが、次のWBCの話になると真剣な顔つきになる。

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「3年後必ず、僕は投げたい。今回はリリーフだったけど、僕は先発で投げたい。また東京プールに入るかはわからないけど、きっと戻ってくる」

 私はドカベンのタオルをリュックから取り出した。このイラストは日本の伝説的な野球漫画であること、主人公がどんな名前なのかをチェコ語で説明すると「ああ、この人は日本のヤン・ノヴァークってことなんだね!」とすぐさま意味を理解して、喜んでくれた。テレザも「明日からあなたのことタロウって呼ばなくっちゃ」とはしゃいでいる。

「チェコの山田太郎」ことヤン・ノヴァーク投手 ©️Haruki Kato

 チェコの山田太郎、ヤン・ノヴァークが、伝説的な投手となる未来があるかもしれない、あってもおかしくない。こっそりおまじないをかけるようにタオルをノヴァークにプレゼントした。

 温泉と春に芽吹く自然の力をたっぷりと全身に浴びて、彼の腕がもつ本来のパワーを取り戻すことを、心から願ってやまない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

「チェコの野球はどこまで進化する?」日本に2ヶ月間滞在したWBC代表“チェコのドカベン”に聞いてみた

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