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こちらもヒートアップして言い返したが、あまり激しくやり返してしまうと公務執行妨害で逮捕されてしまう。必死でツレたちを宥めつつ、なんとか向こうの話を冷静に聞こうとした。
向こうはしっかりと逮捕状も持っていた。罪状は、賭博罪。こうなっては観念するしかなかった。僕はパトカーに乗せられ、そのまま連行された。
逮捕の理由
先輩の言っていた「カタギがこれで捕まることはない」とはなんだったのか。あとでいろいろと話を聞いてみると、今回僕たちが持っていかれたのにはまたしても別の事情があるらしかった。
当時、関西の方で大きな暴力団が分裂したタイミングだった。警察はこれをチャンスと捉えた。その暴力団の資金源になっていそうな組織に片っぱしからあたり、そこから内部調査に入るための有効な証拠を集めようと考えた。
そしてその暴力団との関係を疑われたのが、僕らの野球賭博だったというわけだ。
しかし、前述の通り僕たちはこの件で「反社」と呼ばれるような人たちとは一切関わっていない。僕らが野球賭博をやっていたのは事実だが、その裏に警察が予想していた組織の姿はなかったということだ。
警察も、みすみすこの機会を見逃すわけにはいかなかったのだろう。僕がいくら「知らない」と答えても、彼らの厳しい取り調べはなかなか終わってはくれなかった。