今年も4月から続々と新ドラマが始まった。そこで気になるのが、“ジャニーズ俳優”たちの存在感だ。世間の注目度において頭1つも2つも抜きん出ている『風間公親―教場0―』(フジテレビ系)の木村拓哉は別格としても、各ドラマにジャニーズたちが出演している。
これは滝沢秀明氏の“置き土産”といえるだろう。滝沢氏は退社するまで、こまめな営業活動により、番手を問わず様々な局の様々なドラマ枠にまだデビューしていないJr.を含めた大量のジャニーズをプッシュし、様々なドラマ枠に太いパイプを作ったと言われている。そうした影響は今も健在で、今春ドラマにも、あらゆる局のあらゆる時間帯にジャニーズが大量に出演しているのだ。
解決の糸口が見えないほどの深刻な問題を多数抱えるジャニーズ事務所だけに、活躍する彼らの姿はつい応援したくなってしまう。ジャニーズがどこへ向かっていくのか分からないが、試金石のひとつとなるのは、オードリー・若林正恭と南海キャンディーズ・山里亮太の半生を描く『だが、情熱はある』(日本テレビ系)だろう。若林役をKing&Prince・髙橋海人が、山里役をSixTONES・森本慎太郎が演じている。
「事務所の期待大」の布陣で挑む“変わり種ドラマ”
同作の指揮をとるのは、KAT-TUNの亀梨和也と山下智久が共演した『野ブタ。をプロデュース』や、長瀬智也が主演した『マイボスマイヒーロー』などを手掛けてきた河野英裕プロデューサー。ジャニーズ事務所からの期待も高いことだろう。
しかし、ドラマが発表された時点では「なんでジャニーズが芸人役を?」「またジャニーズか……」という不安や落胆の声も多数あった。しかしビジュアルが発表された際、その不安は期待へと転換した。森本扮する山里があまりにそっくりだったのだ。
森本が演じる山里は、笑っていない目&平行四辺形のモノ言いたげな口元など本人そのもので、山里自身がTwitterで「もう俺じゃん」と呟いていたほどだ。
と言っても、森本はドラマ『泳げ!ニシキゴイ』(日本テレビ系/2022年)でお笑いコンビ・錦鯉の長谷川雅紀役を愛嬌たっぷりに演じた実績があったことから、ある程度の勝算は最初からあったはずだ。
森本の強みは、まずその誠実さ。
『だが、情熱はある』でもわからないことなどを山里に直接相談していることが山里のTwitterで明かされていたが、真面目で一生懸命な性質がスタッフに愛されるところもある。
そしてもう一つは、“時代モノ”が似合うこと。
江戸川乱歩の誕生秘話を描く『探偵ロマンス』(NHK総合/2023年)では、ハンチング帽をかぶった新聞記者役で世界観に馴染み切っていた。現代物ではあるが、特攻服を着たゴリゴリのTHEヤンキーを描いた『ナンバMG5』(フジテレビ系/2022年)でも、争いを好まない硬派で明るく優しいゴリラ・大丸大助を好演。醸し出す「幼い頃に遊んでくれた隣のお兄ちゃん感」で、懐かしさを感じる作品においてリアリティを加えていた。
若き日の山里を演じても、その佇まいはいい意味で現代味がなく、ノスタルジックな雰囲気づくりに貢献することだろう。