髙橋演じる若林に「絶賛と戸惑いの声が続出」
一方、髙橋海人はというと、ビジュアルが発表された段階では圧倒的に疑問視する声が多かった。甘い顔&甘い声の「W甘味」的な髙橋と、冷めた薄口&童顔の若林は似ても似つかず。ところがいざ放送が始まってみると、絶賛と戸惑いの声が続出した。
戸惑いの理由は、声。口を横方向に開き、ダラダラ、ネタネタと喋る口調が若林本人と聞き違えるほどにそっくりだったのだ。そうなると、甘々で似ても似つかないと思った容貌すら、どこか白けて低体温に見えてくるから不思議なものだ。
河野Pは髙橋のキャスティングの理由として、「いつも不安を抱え、暗中模索で走っている様子に若林との共通性を感じたこと」を挙げている(ORICON NEWS2023年4月6日)。髙橋にはこれまで見せてこなかった内に秘める“闇”が、いま開花しようとしているのかもしれない。
世帯視聴率・個人視聴率共に苦戦を強いられているものの、この2人の高評価は事務所にとってなによりの吉報だろう。King&Princeの3人(平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太)が退所することによる大きな損失を埋める材料となりえるからだ。
事務所残留を決めた2人――髙橋と永瀬廉は“忠誠心”を買われ、今後ますます推されることが予想される。
事務所プッシュの永瀬廉の“俳優力”とは
そんな永瀬は、冬ドラマの北川悦吏子脚本×広瀬すず主演の連ドラ『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)で広瀬の運命の相手を演じた後、春ドラマでは黒岩勉脚本×福山雅治主演、バディを大泉洋が務める『ラストマンー全盲の捜査官―』(TBS系)に出演。
同作はこのところ迷走が目立っていたTBS日曜劇場の復調の兆しを感じさせる作品だ。しかも永瀬が演じるのは大泉演じる護道心太朗の甥で、護道家の次期当主というオイシイ役どころなのだ。
もともと永瀬は決して器用なタイプではない。
ドラマ初出演作となった玉森裕太主演の『信長のシェフ』(テレビ朝日系/2013年)で森蘭丸を演じた際には、わずかなセリフながら滑舌が追い付いていない「無礼者!」がネットの掲示板などで散々ネタにされたこともあった。ダンスも本人が自らネタにするほどたどたどしかったが、努力により上達していった。その努力家としての一面とひたむきさ、素直さが俳優業においても演じる人物の「苦悩」や「成長」を見せる上で深みにつながっている。
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』(2021年度上半期)では、震災で母を失い、失意で酒におぼれた父を支える「りょーちん」の気丈さと繊細さ、そして心に負った深い傷を表現し、作品の重要な柱となっていた。
今作でも福山と大泉というキャラが濃すぎる2人の存在感に、永瀬の演技がどう働くのかが気になるところだ。