ずいぶん昔、「夢の島に社会科見学に行った」という話を友人から聞いて、心底うらやましいと思ったことがある。国会議事堂だとかコーラかなにかの工場だとかが定番だった社会科見学で、夢の島。都会の小学校に通っていると、ずいぶんといいことがあるのだなあと思ったのだ。
が、夢の島というのは東京の臨海部にある埋立地で、要はゴミ処理場のことである。何のことはない、ボクらが日々出しているゴミがどのように処理されているのかを見学しましょう、という夢どころか現実を直視させる実に王道の社会科見学だった。
そんなわけで、なんでゴミ処理場に夢の島などという名前をつけているのかというのが気になっていた。だいたい、ゴミ処理は環境問題や衛生問題とも密接に関わっている、シビアな社会問題である。夢の島という名前でネガティブなイメージを糊塗し、現実から目をそらすように仕向けているのか。ここまでいくとさすがに大げさだが、なんだか腑に落ちない思いをずっと持っている。
そして今回、ついに夢の島にやってきた。といっても、目的は夢の島そのものではなく、新木場駅だ。
有楽町線“ナゾの終着駅”「新木場」には何がある?
新木場駅は、東京メトロ有楽町線の終着駅である。有楽町線は東武東上線や西武池袋線に直通しているから、それらの路線を利用する人にとっても終着駅ということになる。
また、埼京線から直通してお台場を貫くりんかい線の終着駅でもあるし、東京駅の奥深くから千葉の蘇我駅まで、徹底して臨海部を走り通す京葉線の途中駅でもある。東京駅のとてつもなく遠い京葉線のホームを嫌う人は、新木場駅で有楽町線かりんかい線から乗り換えるのだという。すなわち、新木場駅は東京東部の臨海エリア、そこにあって随一の鉄道乗り換えの要衝地というわけだ。
夢の島が新木場駅の近くにあるというのは、今回新木場駅に来ることになって初めて知った。そもそもの目的は、有楽町線・りんかい線の終着駅にして3路線が交わる乗り換えのターミナルがどんな駅なのか、ということにある。
乗り換える客は多くても、駅の周りに何があるのか知っている人はあまりいないのではないか。そういうわけで、新木場駅にやってきた。