ただ、「体調管理も仕事のうちだから」と聞かされていたので、休めなくても体調を崩す方が悪いし、皆ができることすら満足にできない自分が情けない、落ちこぼれだと感じていましたね。
――壮絶ですね……落ちこぼれだと感じていたとのことですが、むしろグループの中でも仕事量が多かったのでは。
最上 グループに後から入ったという経緯もあって、常に他の子より劣っていることを感じていて、できる仕事はやろうという姿勢はあったかもしれません。すでに周りはそれぞれ売れていて、Twitterのフォロワー数もすごい。かたや自分は歌もダンスも下手で、トークで面白いことが言えるわけでもない。
皆に追いつかないといけない気持ちでいっぱいでしたし、グループを有名にするためにソロの仕事をちゃんとこなさないといけないと思っていて、苦手と感じていた仕事もたくさんしていました。グラビアの仕事は特にアンチが増えましたが、新規ファンも増えたので、グループには貢献できてたと思います。
「アイドルは言われっぱなし」をぶち壊した
――「忙しいのは当たり前」と同じように、「アイドルは言われっぱなしが当たり前」という風潮があったと思うのですが。
最上 それを一回ぶち壊して、「物申すアイドル」という地平を切り拓いた自負だけはちょっと、あります。
――自分の言葉で語るのは勇気がいりましたか。
最上 そこは、私が業界のお作法というか、「アイドルとはこうあるべき」みたいな憧れや固定観念がなかったので、「そんなの知らん!」という感じで伝えたいことは伝えていました。それに、アイドルは、自分のファンを管理しなくちゃいけないと思うんですよね。
――ファンをアイドルが管理するとは、具体的にはどういうことでしょうか?
最上 当時のアイドルでは珍しく、対バンがすごく多かったんですね。そういう時、自分たちのファンが対バン相手のファンの方に迷惑をかけたら、その全責任はアイドルにあると考えていました。
特にロックフェスに出させてもらうことが多かったんですけど、当時はロックフェスにアイドルが出ることも少なく、多くの人はバンドのファンであって、アイドルを見に来てるわけじゃなくて。当時は相当叩かれましたし、「アイドル?ふざけんな」勢が地蔵のようにステージ前にいて。
――試練の舞台ですね。
最上 でも、そういう方たちを楽しませてファンになってもらうためにはどうしたらいいんだろうと頭をひねる中で、オタクたちも、「俺たちが頑張らなきゃ!」と、いつも以上に応援に熱が入って行き過ぎちゃったりして。
サイリウムライトをステージに投げてきたファンがいて、MCで「帰れ!」と怒ったこともあります。「そういうことするヤツには応援してもらいたくないし、メンバーがケガでもしたらどう責任取るんだ!」と、めちゃくちゃに怒ったんです。