――逆に、「物申すアイドル」でいることの苦労もあったのでは。
最上 アンチを作りやすかったのは間違いないですよね。ファンを注意するなんて嫌われ役ですし、誰もやりたくない。自分はうっとうしい学級委員みたいだと思っていました。
でも、言いにくいことでも、ファンに注意できるのはやっぱり、アイドル本人だと思うんですよね。運営より、アイドルが直接言う方が何倍も響いたんですよ。楽しむのと、好き勝手するのは違うと思っていたので、そこは腹をくくってやっていました。
私が脱退してから「ライブのマナーが悪い人が増えた。もがが言ってくれていたのがありがたかった」ということを聞いたりもしたので、やったことに意味はあったと思っています。
誹謗中傷や噂話をスルーしなかった理由
――最上さんは2012年頃から個人のSNSやブログでセクシャリティを公表したり、あらぬ噂に抗議するなど、たびたびご自身のスタンスを明確にしています。
最上 ロックフェスに出させてもらっていた時は、「もがは絶対バンドマンとスキャンダルを起こす」みたいなことをよく言われましたし、「ホスト狂い」と書かれたことも一度や二度ではありません。実際にはそんな暇もなかったですし、「恋愛対象は異性だけじゃないんですけど?」と思ってました。
――「金髪ショート」という見た目で誤解を受けやすい部分もあったのでしょうか。
最上 金髪にしていたのは母が厳しかった反動からなんですが、たしかに黒髪だったら、いろいろ言われることは少なかったかもしれないですね。ただ、私の経験上ですけど、黒髪清楚系に見せかけてる子の方がやんちゃだったりしますけどね(笑)。外見で遊んでそうにみられる事はすごく多かったです。
――誹謗中傷や噂話に対して黙ってスルーしなかったのはなぜですか。
最上 勝手なイメージで自分を語られるのは嫌だったんです。誤解を解くには自分で発信するしかないし、それが可能になるほど、ちょうどSNSが盛んになっていた時でした。