2017年までアイドルグループに所属し、脱退後は女優やモデル業、タレントとして活動している最上もがさんが初フォトエッセイ『も学』(KADOKAWA)を上梓した。 

 21年5月に出産を発表し、現在2歳になるお子さんを育てるシングルマザーでもある最上さんに、アイドル時代に苦しんだメンタルの不調について、また誹謗中傷に対して「物申すアイドル」として自分の言葉で語ってきた真意を聞いた。 (前後編の前編/後編を読む)

最上もがさん

◆◆◆

ADVERTISEMENT

脱退後、「消えたい」という願望が

――初フォトエッセイ『も学』の中では、ご自身の気質やメンタルの不調について多くページを割いていました。アイドルとして活動する中で、心の健康は大きなテーマだったのでしょうか。 

最上もがさん(以降、最上) アイドルになってから「自分は健康だな」と思えたことが一度もなくて。

 仕事を始めた当初は、多忙で疲れてはいたものの、心は病んでいなかったんですが、2014年頃から壊れ始めて、そこから脱退するまでの3年間が私にとっては大変でした。脱退後はズタボロの自分だけが残って「うつ」になっていました。 

――エッセイでは、「うつ」の治療についても書かれていましたが、治療を開始した経緯は。 

最上 脱退した後、なぜこんなにつらいんだろうとか、なぜ笑えなくなってしまったんだろうって。今の嫌いな自分から、どうにかして好きな自分になりたいけど、「消えたい」という願望が全然なくならなかったんです。家にいてもずっと寝たきりで、好きだったことも楽しいと感じず、食欲もなくて、そんな生活をしてると体力もなくなって起き上がることも億劫になりました。

 

 当時は、その状況に対しての救いが、「死ぬ」しか思い浮かばなくて。けれど勇気がなく、失敗したんです。死にたくなくなるためにはどうしたらいいんだろうと考えて、心療内科への通院をはじめ、その時はじめて「うつ」と診断されて、ほっとしました。

ボロボロになりながらのアイドル活動

――不調を抱えながらのアイドル業は、大変な困難があったのではないですか。 

最上 活動中に自立神経失調症にもなっていて、漢方薬を飲んだり、安定剤を服用していたこともあります。睡眠障害もあったので、睡眠薬を飲んでいた時期もあるんですが、そういった薬が重なると記憶が飛ぶこともあって、仕事に支障が出ることもありました。 

 

――そこまでしても現場に立たなくてはいけない環境も、厳しいものがあります。 

最上 今思えば、そうですよね。ただ、当時は「忙しいので休みたい」と言っても、「AKBさんもジャニーズさんも、第一線のアイドルに休みなんてないよ。それが当たり前」と聞かされていて、「そうだよね。耐えなきゃいけないよね」と思い込んでいて。 

 今でも覚えているのが、ドラマの撮影をしながら、でんぱ組のツアーやリリースイベントなどもある時期があって。その上、ちょっとした空き時間にもインタビューを入れられてしまうこともあり、インタビュー中まともな状態でいられず、うとうとしてしまったこともありました。