背景には「スマホの爆発的普及」
2011年の調査で、ネット右翼の平均年齢を38.15歳としたが、現在彼らがそのまま加齢したとすれば49歳というところになり、ライトシニアの範疇に入ってくる。年齢的には2011年の段階で既にアラフォーだが、現在ではアラフィフになっている。
ただし、2011年の調査はネット右翼の年齢属性を必ずしも網羅したものではない。この間、ブロードバンドが驚くべき速さで普及し大量のシニアがネットユーザーになったからである。更に特徴的なのは、とりわけこの10年間でのネット環境の激変、スマートフォン(スマホ)の爆発的普及である。
NTTドコモモバイル社会研究所によれば、2010年におけるスマホの普及率は4.4%にすぎなかったが、10年以上を経た2022年で94%となり皆普及になっている。当然のことだがスマホは高速でのネット動画視聴が簡便かつ手軽に行えるので、ネット動画視聴に際して極めて大きな便益を供している。2011年調査ではこのスマホ使用者をほとんど捕捉できていない。
2021年における株式会社ハルメクホールディングスによる55~74歳の女性527名を対象にしたスマホ普及率の調査を見ると、シニア女性のみではあるが、2011年にスマホ普及率は0%だったが、10年後の2021年には92.2%になっている。シニアにおける普及率が0%だった消費財が、10年を経て9割を超える例はほかに存在していない。
よって2011年調査はネット右翼の中の比較的若い人々を捉えたとも言え、この後の10年で新規にとりわけスマホを用いたネット動画を介してシニア右翼化した人々の実相を正確にとらえているとはいえず、その年齢偏差の実際はさらに上方に遷移する可能性がある事を付け加えておく。