ドバイ“王族案件”で音信不通になった女友達
なかには“王族案件”と呼ばれる、ドバイでの怪しいエスコートの仕事もあったという。
「『王族に気に入られれば1カ月で1000万稼げる』という触れ込みで、知人が何人か行きました。エスコートというのはセックスなしで、パーティーで男性の隣についてニコニコしているだけの仕事です。そういう仕事も確かにあったようですが、やっぱり結局体を売ることになるようで……。
そのうち1人はスカウトや出稼ぎ仲間の友人たちに『お金くれるからセックスはするけど、事前に聞いてた話と違うんだよね』とLINEで愚痴っていたんです。次第に『王族に家に呼ばれたけど、家から出るなと言われて出してもらえないんだけど』と言い始め、結局音信不通になってしまった子もいます。無事に帰国しているといいのですが……」
こうした経験を経て、エージェントと決裂する女性もいる。しかしそうすると一生に傷を残すような反撃を食らうこともあるようだ。
「知人が2カ月ニューヨークで出稼ぎすることになったのですが、1カ月ほどで体調を崩してしまい、日本の病院で治療するから帰国したいと言ったんです。そしたらエージェントが『お前の顔と名前と裸、全部Twitterに晒すぞ!』とキレてしまって……。結局本当に晒されて、弁護士に50万円払い消してもらったそうです」
A子さんの知人が周囲の仲間に後で聞いたら、そのエージェントは気に入らないとネットに写真をばらまくことで有名だったようだ。
「エージェントへの不満をTwitterで呟こうものなら、『晒されたくないなら俺は悪くないっていう謝罪を固定ツイートで1カ月貼れ』と脅してくるという悪質さでした。
ほかにも『最近の日本人はサービスが悪いと海外で言われている』と言い、渡航前の女性に“本番講習”を強制することでも有名です。結局、私の感覚では、まともなエージェントは2割くらいでしたね」
悪質なエージェントに、現地での危険な売春行為。Aさんは「トラブルだらけなのでやめた方がいいと思いますよ。私はもう二度といかないつもりです」というが、甘い言葉に誘われて身を堕とす女性は後を絶たない。
海外売春の危険性について、こうした事情に詳しい安井飛鳥弁護士はこう語る。
「国内外問わず出稼ぎにいき、きちんとした契約書も結ばずに『支払われるはずのお金が払われなかった』という相談は昔からよくあります。ただ、海外ならではのリスクとして、梅毒等の性病に感染したり、感染してもすぐに検査や治療を受けることができないことはよく指摘されています。
また、場合によっては人身取引などの国際問題にも及ぶ恐れもあります。年齢が若いほど逮捕リスクなどを考えずに危ない世界に飛び込んでしまう傾向はありますが、海外では国内以上により危険があると認識すべきだと思います」
身を守る術を持たず、甘い話に乗せられて渡航する――。SNSなどの発達であまりに身近になりすぎた海外出稼ぎ売春だが、そこには大きなリスクが潜んでいるのだ。