大泉潤氏の公約「新幹線函館駅乗り入れ」構想は、3年前に鉄建公団OB、吉川大三氏が立案した。「ミニ新幹線」という言葉はわかりやすいけれど、それは在来線乗り入れという意味。フル規格新幹線で運用できるという。

新函館北斗駅に停車する北海道新幹線E5系車両

フル規格10両で函館駅に乗り入れる

――「はやぶさ」に函館編成を併結するなら、東京発の場合、秋田行き+札幌行き+函館行きを連結してもいいと思いました。

吉川 それだと先頭車の鼻が長い分、客席が減ってしまいます。2方面の列車の併結だと先頭車が4両、3方面なら6両です。次世代新幹線車両として試運転している「ALFA-X」では、ほとんど座席のない先頭車も試験しています。こちらを採用した場合、短い編成にするほど1両当たり平均座席数が少なくなります。

ADVERTISEMENT

 それに、分割併合作業は時間がかかるので、スピードダウンになってしまう。だから本命は「併結せず、フル規格車両10両編成のまま函館駅に入れたい」なんです。札幌駅~函館駅のローカル新幹線はフル規格車両6両編成程度で良いのではないでしょうか。この編成は東京には行きませんが、仙台、新青森まではいくかもしれませんね。九州新幹線でも博多・鹿児島中央間のみを走行する6両編成の新幹線の例があります。

 なぜミニ新幹線として話を始めたかというと、最初からフル規格新幹線を入れるとなると、昔の「フル規格線路は1000億円もかかるからムリ」という話を蒸し返しかねない。線路は三線軌条ですが、車体はフル規格がいい。青函トンネルと同じ形です。ミニの話は目論見どおりで、世間の注目を受け、当たったと思っていますが、ミニばかりの議論になりつつあるので、修正していかなければならないと思っています。

鉄建公団OBの吉川大三氏

新函館北斗・札幌間は30分に1本の走行で利便性が良くなる

――なるほど、そもそもミニ新幹線車両はトンネルなど在来線規格の建築限界に対応するためでした。建築限界をクリアできるなら、フル規格車両でいいですね。このポイントは、かなり誤解されやすいです。一般にミニ新幹線と聞くと「小さめの車両で、分割併合するもの」と思ってしまいます。吉川さんの案は、線路の整備方式はミニ新幹線タイプで、走らせる車両はミニ新幹線ではなく、フル規格新幹線車両なんですね。