吉川 北海道新幹線の札幌延伸時には、東京から、新青森行き、新函館北斗行き、札幌行き等の列車が出ます。現函館駅乗り入れが実現したとして、ダイヤを考えてみます。東京からの札幌行き直通は1時間に1本、函館行きも1時間に1本とし、函館行きは新函館北斗でスイッチバックして17分かけて現函館駅に到達します。その他ローカル新幹線として函館発札幌行きも1時間に1本程度走行すれば、新函館北斗・札幌間は30分に1本の走行となり、この間の利便性が非常に良くなります。
現函館駅を始発・終着とする乗客は、現駅始発着の列車を選定するのが普通です。しかし、札幌直通の列車に乗り、函館駅で乗降しようとする乗客は新函館北斗での在来線への乗換えが必要になりますが、この客数は限られたものであり、第三セクターのディーゼル列車で対応可能ですし、ローカル新幹線の利用も可能です。
ネットでは「新幹線でスイッチバックなんて前例がない」と批判が
――在来線シャトルに乗ってくれたら第三セクターの収入になりますけど、新函館北斗駅~函館駅間のフル規格新幹線列車を走らせた方がいいかもしれませんね。新函館北斗駅の下りプラットホームから在来線プラットホームの動線を考えると、いったん階上のコンコースに上がるので混雑します。今の新函館北斗駅は下りプラットホームを島式にする前提で作られていますから、区間新幹線と対面乗り換えの方がスムーズです。いずれにしても、ハードが整えば運用も車両もいろいろなパターンが考えられますね。
吉川 新函館北斗止まりの列車を車両基地に入れるときにスイッチバックさせるなら、それをそのまま函館駅に入れてしまおうと思っていました。しかし、ネットでは「新幹線でスイッチバックなんて前例がない」と批判がありました。これはちょっと意味がわからないです。東京駅で折り返す列車もスイッチバックですから。
――在来線扱いながら、秋田新幹線の「こまち」も大曲駅でスイッチバックしますね。運用として難しいことはないですね。
JR北海道が第二種鉄道事業として乗り入れることに
――ミニ新幹線の併結装置は編成の片側しかできないので、函館編成の併結方法はできないという意見があります。つまり、構想の函館編成は東京寄りに併結しますが、秋田新幹線、山形新幹線とは逆向きだという指摘です。
吉川 いまある車両ではできないというだけで、技術的には可能です。札幌延伸開業は2030年の予定ですが、それまでにE5系の初期車両は交替の時期を迎えます。JR東日本は新型新幹線車両「ALFA-X」を試験中です。山形新幹線用のE8系も来年春にデビューすると聞いています。