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大混乱を疑う記録

 そしてそれからさらに1時間半ほどした、

〈1822〉(6時22分)

 陸上自衛隊の“本部”とも言うべき、東京の陸上幕僚監部(陸幕)に公式に「第一報報告」を行っている。

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巡視船が発見した窓枠の一部とみられる部品(第11管区海上保安本部提供) Ⓒ時事通信社

 これらの『報告』から推測されることは、自衛隊は、〈1822〉の「第一報報告」まで、「大混乱」に陥っていた可能性だ。

 それを疑うのは、当初の『報告』にあった「消失」の時間である、

〈1640〉

 が、さらにその後、

〈1633〉(4時33分)

 と訂正されてからまたしても、やっとメディアに広報されたのと同じ、

〈1556〉(3時56分)

 と再度の訂正がなされている。

 しかも防衛省が「ロスト」した時刻と発表している時間から30分以上も経過した時点での『報告』にある、

〈1628〉

 にSNSの通信通話の発信を《106号》に試みていることは、余りにも不可解なことだ。

 これら数々の“異質”なことから導かれる「推察」は、自衛隊側は、《106号》が、行方不明になった事実を、〈1822〉の「第一報報告」まで把握できなかったのではないか、ということである。つまり、「ロスト」から約2時間半もの間、中国からの防衛の最前線の「センサー」たる宮古島分屯基地が茫然自失状態になっていたのではないかという疑いだ。

 最も奇妙なのは、関係機関への通報が、防衛省発表の「ロスト」時間から3時間以上も経過した19時10分を過ぎて行われていると、『報告』にあることだ。

 いったいどういうことが起これば、このような事態に陥るのか――大きな「謎」だ。

(筆者註・肩書きは「ロスト」の時点。事実関係は4月25日現在のものである)

陸自ヘリは中国に撃墜されたか」全文は、月刊「文藝春秋」2023年6月号と、「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

文藝春秋

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