そのため、このタイプの冷凍食品を作る工場は、施設内を陽圧にして外から細菌やかびなどの微生物が入らないようにし、さまざまな技術を駆使して微生物汚染を極力防ぐようにしています。また、ヒトは肌などに細菌を持っており全身を作業着で覆っていても汚染源となるおそれがあるので、機械化を推し進めヒトの作業を減らして製造しています。保存料は使っていません。
こうした努力により、細菌に汚染されていない冷凍食品が出来上がり、保冷剤代わりに弁当に入れても条件をクリアし、腐敗や食中毒につながらず安全に食べられます。
家庭の台所は細菌で汚染されている
一方、自家製冷凍食品の調理環境はどうでしょうか?
花王が家庭の台所の調査結果を「トイレより汚い⁉キッチンは菌でいっぱい」と紹介しています。同社の拭き取り調査で、シンクのふちや手拭きタオルは、6割以上の家庭で10万個以上の菌が検出され、調理台も17%の家庭は同様に10万個以上の菌が検出されたことを明らかにしています。
四国大学の研究者の一般家庭を対象とした使用後のふきん調査でも、台ふきんは10センチ角の面積あたり、細菌が1000万個以上いることがわかりました。かびも同程度でした。つまり、台所は細菌やかびだらけで、ふきんにもそれらが付いている、ということなのです。
自家製に食中毒のリスク
家庭の台所では、生の肉や魚、野菜などさまざまな食品を調理します。それらは自然のものなので細菌が一定数いて当たり前。工場のような細菌を防ぐ装置もなく、洗うときの水はねなども起こり、台所はどうしても細菌に汚染されます。
そんな場所で、菌が付いているヒトが調理をするのです。どんなに清潔そうに見えても、家庭での料理は設備のよい工場の食品に比べ汚いのです。でも、家庭では調理からあまり長い時間を経ずに食べることにより細菌は増殖しておらず、食中毒リスクは抑えられます。
台所で調理したものを冷凍する自家製冷凍食品も、加熱調理をした段階では殺菌できても、容器に小分けして冷凍する段階で細菌が付いてしまい、細菌汚染を避けられません。冷凍しても細菌は死にません。解凍され温度が上がると増殖が始まります。生ぬるい弁当箱の中で食べるまでの数時間の間に食中毒菌が大増殖していたら……これは危険です。