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「そんな大層なことは考えていませんよ。覚醒剤の楽しさを知っている人間に、ほかの楽しさもあるよ、ということを教えたい、そう思っているんですよ。酒飲んでいたら楽しいやないですか。覚醒剤は女と博打ばかり。刑務所で人生を送るよりも、いいじゃないですか。生活保護もらったとしてもね。そういうことを教えたい。

 覚醒剤をやっていいことはひとつもありませんもん。みんなに言うもん、友達は選べよって。

 それにやっと気づきましたね。知り合いから連絡あっても何でワシに覚醒剤のことを聞くんやって。それで終わりですよ。もうワシは覚醒剤に絡んだ人に会いたくもないんで、電話せんとってくれと。会いたい人とだけ会えればいいんじゃないですか。

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 みんな心が寂しいから、覚醒剤売っていると分かっていても行ってしまうんですね。ちょっと考える時間をあければ、ほかにもいい人がたくさんおる。そういうことを伝えたい運動なんですよね」

「夢は、居酒屋」

――確かに巷では芸能界も含め薬物は蔓延していますよね。

「芸能の人がなんぼでもやっているのも分かりますよ。止められんからね。リスクがワシらとは桁違いやけどね。私らは捕まっても懲役に何年か行くだけやけど、あの人らは人生終わりですもんね。何年も芸能活動を自粛して活動できませんもんね。3年も芸能活動できへんかったら、月収何千万もある人がゼロになる。リスクが大きすぎる。

 達磨塾はだからそういう大きいことは考えてないんですよ。自分の人生をどうするか、ということを考えるのが基本ですよ。ワシがやめた方がええで、というのは達磨塾という覚醒剤をやめようという会をやっているから理由があることでね。そういう理由付けのためにやっているんですよ。夢は、いつになるかわかりませんけど居酒屋をしたいと」

西成で生きる この街に生きる14人の素顔

花田庚彦

彩図社

2023年3月20日 発売

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