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 母親自身も下着などに頓着がなく、化粧も一切しない人だから、色付きのリップを私が持っていただけでもすべて「男を誘っているの?」と言われてしまうんです。だから下着も買ってもらえなくて、よくてカップ付きのキャミソールみたいなもので。胸をホールドするようなものは一切買ってもらえず、パンツもずっと子ども用でした。

――「しまむら」で5枚980円くらいの……。

戸田 そうです、そうです。ウサギとか鳥とかの絵が付いてるような。だから着替えのときはすごく恥ずかしかったし、「異性と仲良くなりたい」という気持ちがあっても「下着を見られたら終わりだな」と。

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 母親からも「男はみんなヤバい」「絶対2人きりになっちゃいけない」と過剰に言われていたので、誰とも付き合っちゃいけないんだと思っていました。ブラジャーを初めて買ったのは、1人暮らしを始めてからでしたね。

©杉山拓也/文藝春秋

中学生時代から「親の言っていることが変だな」と思うように

――現在、ご両親と接点はありますか?

戸田 ごくたまに連絡がきて返信をするくらいの関係性です。一時期、私が18歳で家を出るとなったときはすごく揉めたんですけど、今は逆に距離を取られています。

――それは何があったんですか。

戸田 親に私のことを「この子は自分たちには理解できない変な人なんだ」と思わせることで、自然と距離が開いたような感じです。

 以前は話す機会があるとだいたい怒鳴り合いの喧嘩になってしまっていたので、それがきっかけで離れて過ごせば過ごすほど、価値観の溝が開きすぎてもう埋まらないくらいになって。

――お母様の言うことにすべて合わせていた戸田さんがそんな風になったのは、なにかきっかけが?

戸田 中学生くらいになるとやっぱり、どうしても父親と母親がいいというものより「私的にはこっちのほうがいいな」と思ったり、「親の言っていることが変だな」と思ったりするようになって。

 それは母親が入信している宗教の影響もすごくあったんですけど。

撮影=杉山拓也/文藝春秋

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