文筆家・映画監督として活躍する、元AV女優の戸田真琴さん。新興宗教を信仰する母親の元に生まれ、機能不全家族のなかで育った過去を持つ。そんな彼女が、自身の生い立ちやAVデビュー・引退の経緯などを描いた私小説『そっちにいかないで』(太田出版)を5月27日に刊行した。
新興宗教家庭で育ち、“生きづらさ”を抱えながら生きてきた戸田さんは、執筆活動や映画制作などを通して、何を伝えようとしているのだろうか。そして、「宗教2世問題」がクローズアップされる今、当事者である彼女はどんな思いを抱いているのか――。貧困問題や機能不全家族などを取材するライターの吉川ばんび氏が、詳しく話を聞いた。(全3回の3回目/1回目から読む)
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自分のことを覚えてもらうためにブログを開始
――戸田さんは今年でAV女優を引退されたとのことですが、今はどんな活動をされているのでしょうか。
戸田真琴さん(以下、戸田) AV女優時代から執筆活動を行なっていて、本も2冊出したのですが、5月27日に3冊目の本が発売されます。それは私小説の形をとっていて、自分の経験だったり家族の話だったりを書いているんです。
あとは映画をすでに1本撮ったのですが、映像監督としての仕事もしていこうというところです。
――もともと、文章を最初に公開したのは書籍だったんでしょうか。
戸田 いえ、ブログです。AV女優デビューして「とにかく自分のことを覚えてもらわなきゃいけない」という思いでブログをよく書くようにしていたんです。そうしたらだんだんと注目してもらえることが多くなって。
高校卒業後、映像系の学校に進学
――AV女優の方のブログやSNSでよく見かける、ちょっときわどい写真を載せるということではなく、戸田さんの場合はしっかり文章を書いているのが独特な印象を受けました。それが面白かったのかもしれませんね。
戸田 本当ですか、ありがとうございます。嬉しい。
――AV女優と作家の仕事を平行してやって、引退されてからは作家と映像監督としてのお仕事をしていこうというのは、どうしてそのキャリアを選ばれたのでしょう。