戸田 選挙のたびに必ず母親から連絡がありました。今は親にも住所を言っていないので、突然家に来られるとかそういったことはなくなりましたね。
――私の知人で宗教2世の方は、親がその方の住所を宗教側に教えてしまうので、ひとりで引っ越しても家まで宗教関係の方が訪問にきてしまってトラブルになっていました。
戸田 あ、もしかしたらそれで何度も住所を聞いてくるのかな。家の間取りや家賃なんかを知られるのが嫌で教えていないんですけど……。
家庭環境の“おかしさ”に気づいたきっかけ
――生い立ちをお伺いしてきて、子どもの頃からかなり生きづらかった部分があったのではないかと思うのですが、誰かに相談しようとか、助けを求めようと思ったことはありませんでしたか?
戸田 なかったです。それがおかしなことだと、ずいぶん大人になるまで気付かなかったので。
なんとなく「この家の人たちは私と合わないんだな」と思って、高校を卒業するときにわざと実家からギリギリ通えない大学に夜間で入学したんです。そうすると終電がなくなる関係上、1人暮らしをする口実になるという理由で。
それで実家を離れてみたら、だんだん友達ができていって、そうすると「あの環境は変だったんだ」とわかってくるというか。それが成人してからだったので、逆にそれまで気付けなかったというのが恐ろしいですね。
――学費や生活費はどうやって工面していましたか。
戸田 学費は全部奨学金でした。生活費は、夜勤のアルバイトをして賄っていました。奨学金は満額と、生活費の足しにできるくらい借りていたから結構な額になってしまって。
私、自分が自分として、明日も生きていくという意識が本当にないんです。心と体が乖離しているような感覚がずっとあるんですね。
だから大学時代は「借金めっちゃあるな、でもちょっとわかんない」みたいな状態で。ただ、AV女優の仕事で全額返済できたので、それはよかったです。
撮影=杉山拓也/文藝春秋
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。