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戸田 多分めちゃくちゃあります。母親がすごく、においについて言う人で。

――におい?

戸田 外から帰ってくると「臭い!」みたいなことを言われるんです。多分それは母親がずっと家にいるから、家の中のにおいしか嗅いでいないとか、いろいろ理由はあったと思うんですが。

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 あとは父親の体臭をとても嫌っているので、それが私たちに遺伝しているために自分とは異質なにおいがしていたのか、わからないんですけど。母親は全然お風呂に入らない人なのに「自分は絶対に綺麗」という確信があって。でも私が学校から帰ったりすると「すごく臭いから早く服を全部脱いで」と言われたりするんです。

©杉山拓也/文藝春秋

AV女優としてデビューしたことで意識が変化

――とにかく、体臭について言われることが異常に多かったと。

戸田 はい。そのおかげで今も人に近づくと「臭い」と思われるんじゃないかと怖かったり、汗のにおいなどを過剰に気にしてしまったり。

 そういう意識が、他者とのコミュニケーションに大いに影響したなと思います。思春期にどうしても恋愛というものに踏み出せなかったり、「好きだな」と思っても「でもこれ以上近づいたら臭いし、嫌われるよな」という感覚がとても強かったというか。

――そういった意識が薄れた瞬間やきっかけはあるんでしょうか。

戸田 AV女優としてデビューしたことは大きかったかもしれません。撮影のときって、めちゃくちゃシャワーを浴びるんですよ。1日に何人か男優さんが来て、チャプター毎に撮っていくたびに必ずシャワーを浴びるので「常に全員が清潔」「常にボディーソープの香り」みたいな感じで。

©杉山拓也/文藝春秋

 検査も徹底しているし「絶対に病気を持っていません、健康です、風邪も引いていません、全部洗いました、歯も全部磨いた直後です、はいスタート」という世界なので。

――戸田さんはAV女優になるまで性行為の経験がなかったということですが、それもにおいに関する過剰な意識ゆえのものだったのでしょうか。