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家でも「先生」…厳しかった母のゴルフ教育

ーー幼心にゴルフをやるのが当然なものだと。

阿部 母にあちこちついていって、物心ついた頃からゴルフが生活の一部みたいになっていたので、おのずとやるようになりました。ただ、正直、当時はゴルフがあまり好きじゃなくて。いま振り返ると、母と娘でコーチと生徒でもある関係性って、いろいろと難しかったですね。

 お母さんはお母さんでいてほしいって、あるじゃないですか。でも、試合に出て悪い成績で終わると、母はコーチなので厳しい。「これくらいのことで弱音を吐いたらダメだよ」とか言われていましたね。プロゴルファーに限らずですが、お父さんがなにかスポーツをやっていて、それをお父さんから学ぶ場合のほうが、親子の関係は良好に保てるんじゃないかなと。

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 それもあって中学、高校になると、母とよくゴルフで揉めていました。まだ兄弟がいれば、お母さんとケンカしたら「どうしたの?」って慰めてくれるだろうし、親も私以外の子供に期待を分散することができたんでしょうけれども……といっても、ケンカした翌日には普通に「おはよう」って、なんのしこりもなく。そこは親子だなって。

ーー“コーチと生徒”状態になるのは、さすがにレッスンの最中や試合の前後くらいですよね。

阿部 いや、ずっとコーチでした。家でも「コーチ」か「先生」と呼んでいましたし。たとえば私が家でゴロゴロしていたりすると、お母さん的には「ゴロゴロしてる暇があるなら、ほかにできることがあるんじゃない?」となるんですよ。「いま、走れるよね?」とか「その時間を使って、練習できるよね?」と。

 

ーーお話を聞いていると、どこか親に従うような形でゴルフをやっていたように思えてしまいますが、大きくなるにつれてゴルフをやることに疑問などは生じませんでしたか。

阿部 私、0歳から水泳をやっていて。セントラルスポーツの選手育成コースに入って、中2までオリンピック選手を目指して頑張っていたんですよ。中学校でも水泳部に入ってましたし。

ーーそうだったんですか。

阿部 ただ、水泳って選手寿命が短い競技で、中学に入ったあたりで「これくらいのタイムが出せないと、この先は難しい」と決まってしまうんですね。私も中2で目指すタイムが出せなくなったけど、ずっと水泳を続けてきたのもあって、スポーツはなにかやりたくて。