世界規模の舞台での“カルチャー・ショック”
ーーカルチャー・ショックまではいかずとも、ミス・ユニバースに挑んでみて驚かされたことはありますか。
阿部 スピーチに尽きますね。審査するうえで、かなりのポイントにもなるのでスピーチ力が重要になるんです。私のスピーチは日本代表になるまでは通用したけど、そこから先はちょっと次元が違いましたね。
みんな生い立ちを語ったりするんですけど、海外の方たちは経験していることのレベルが桁違いなんですよ。
日本でも貧困の問題はありますけど、他の国は銃が普通にあったりするので、追い込まれ方が凄まじい。追い込まれていた子ほど、スピーチに重みがあって説得力があって。私は「のほほんと過ごしてきたんだな」と思い知らされましたね。
ーー桃子さんが幼い頃からゴルフをしてきた話などをすると、「恵まれていたんだね」的に見られてしまうところが。
阿部 そういう感じはありますね。たとえば犯罪に巻き込まれるような経験をしていて、そのうえで「強くなりたいから、こういうことに挑戦しました」とか「女性として私はこう発信したい」とかスピーチされると、あまりに説得力が違いすぎちゃって「そうだよな」って納得してしまうんですよ。「いろんな環境の人がいるんだな」と勉強にもなりました。
ーーミス・ユニバースに挑んだことで、抜けなくなった習慣みたいなものは。
阿部 ハイヒールを履くと、カツカツカツッと音を鳴らしちゃいます。ヒールを履いて歩く練習をめちゃくちゃやったこともあって、なかなか抜けませんね。
あと、メイクですね。ユニバースのメイクとモデルさんのメイクって、だいぶ違うんです。ユニバースはすごく濃くて、眉毛も強く描いたりとか。やっぱり強い女性といったイメージを出さないといけないので。
ユニバースの人たちは、そこが抜けないから大変なんですよ。いくら薄くやってみても、濃いんです。メイクさんにやってもらうと、「ほぼ、すっぴんじゃん!」と感じてしまって。このギャップを埋めるのには、時間が掛かりましたね。
ーー“ミス・ユニバースあるある”のような。
阿部 “あるある”かもしれないですね。喋り方が強くなって、しっかり主張もするし。ピッタリして短いスカートを履いたり、ボディコンを着てしまうとか。そのあたりは、ユニバースの人だなって感じがします。
ただ、イメージ的に洋服を持っていそうとか、メイクにこだわってそうとか言われますけど、私自身は普段、ほぼスウェットなんですよね。すぐにゴルフの練習に行けるので、一番ラクでいいんです。