ジャニーズは、今その生態系の魅力を著しく失いつつあります。
私自身、楽しく見聞きしていたタレントさんとジャニーさんの思い出、「ユー、やっちゃいなよ!」という口マネ、「俺、ジャニーズなのに!」といった自虐、少年たちの性的なニュアンスが強い演出などは、今後封印される可能性が高いでしょう。
ここに至り、現役のタレントたちを守るためにできる最善の策は、ジャニーズの名と、これまでほしいままにしてきた“特権”を事務所が自ら手放すことだと考えます。
これまでジャニー氏による性被害問題については、夏休み最後の日が来るまで宿題を部屋の隅に追いやるように、みんな薄々知ってはいても積極的に掘り下げようとはしませんでした。
ファンの中では、その話題に興味を示すだけで“下ネタ好きな人”のレッテルを貼られる空気さえありました。
事務所もタレントもマスコミも私たちも、無意識のうちに手をつなぎ、輪になって「きっとたいしたことないのだろう」と正常性バイアスという踊りを続けてきたのだと思います。
事務所の力で枠を取らなくても、彼らならば活躍できるはず
でももう禍々しい舞いはやめなくては。
私は今も健気に活躍するジャニーズのアイドルたちがとても好きです。彼らなら、事務所の“圧”で枠を取らずとも、実力のパフォーマンスでドラマにも歌番組にも出られることでしょう。
むしろ、「ジャニーズだから」という偏見でチャンネルを変えられることもあったなら、その呪縛を解くことは飛躍への足がかりにもなるはずです。一度滅びても、清々しい再生につなげてほしい。
映画「天空の城ラピュタ」に、学びのあるシーンがあります。強大な力で世界を御さんとするムスカに王女シータはこう述べます。
「土に根をおろし、風と共に生きよう。種と共に冬を越え、鳥と共に春を歌おう。どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんのかわいそうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ!」
“武器”とは圧力。“たくさんのかわいそうなロボット”は、立場が弱く従うしかなかった人々。そして“土”は、上も下もなく人の尊厳を大切にして生きる心。
滅びを招くおそろしさに戦きながらも、シータはあの呪文を口にします。隣には、彼女の手を包む少年・パズーがいます。
タレントさんたちのそばにも、多くのファンが寄り添っています。
「バルス!」
ジャニーズは未来のためにこの言葉を言えるでしょうか。