「ゲイアイドル」のロールモデルになるからこそ、誠実な姿を
――今では、人気アイドルグループの振り付けも担当されていますよね。
ミキティー 一番最初に振り付けをしたのが、駆け出しだった頃の「BiS」でした。そのときは、振付師の経験はゼロなのに「振り付けできます!」って嘘をついて。後で彼女たちには事実を明かしましたよ(笑)。
二丁ハロを続けながら駆け出し振付師として活動するのは、正直めちゃくちゃ大変でした。でも、少しずつ振付師としての仕事が増えてきて。すでに大人気だった私立恵比寿中学の仕事が決まったときは、周りの目が一気に変わったのを感じましたね。
――いろんな方面から下積みを重ねたから、「あの二丁ハロが!?」が現実になったのですね。
ミキティー 私たち、すごく真面目なんですよ。私の「理想のアイドル像」が、誠実で真面目だからっていうのもあります。それとは別に、ゲイアイドルは前代未聞の存在、つまり私たちがこれから続く人たちのお手本になると思うんです。だからこそ、「ゲイアイドル」という仕事に誠実に、真面目に向き合っている姿を世間に見せたかった。
ゲイアイドルグループを守る“厳しいルール”とは
――二丁ハロ及び二丁魁は、ルールが厳しいことでも有名です。
ミキティー 今も昔も、リーダー兼プロデューサーである私がルールを定めています。二丁ハロは2011年5月1日に結成したのですが、その前日にはルールを定めました。胸を張って「私たちがお手本です」って言うためには必要なことだと思っていたから。でも、当時のメンバーは私以外本気でアイドルになりたい人はいなかったし、私自身に何の実績もなかったからかなり反感を買いましたね。
――ちなみに、どんなルールがあるのでしょうか。
ミキティー 私たちグループの業界内での立ち位置や、時代の流れによっても変わっているのですが……。たとえば、「人前でお酒を飲むのは禁止」とか。「ファンからもらったプレゼントをSNSにあげるのは禁止」とかもあります。
――なぜ禁止にしているのでしょう?
ミキティー 「人前でお酒を飲むのは禁止」は、世間では「ゲイ=お酒」ってイメージがあると思ったから。ゲイの人たちって、新宿二丁目でお酒を飲んで馬鹿騒ぎしているんでしょ、みたいな。私たちは小中学生の子がいるアイドルグループと共演することもあるし、振り付けを提供することもあります。そのグループの親御さんやファンからしたら、「お酒を飲み歩いて騒いでいる男性たちと関わりがある」って嫌じゃないですか。だから、禁止しているんです。