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退陣のタイミング

 一時的に体調の改善は見られたものの結局、安倍は8月28日に退陣を表明する。新型コロナの感染拡大がピークアウトし、臨時国会で新たな首相が対応できるよう逆算して退陣のタイミングを計った。そこには「投げ出し」と批判された第1次政権の反省を徹底的に踏まえ、後進への道筋をつけることに腐心した形跡が見て取れた。

 安倍は辞任会見で次のように語った。

安倍元首相と菅前首相 ©文藝春秋

「政治においては、最も重要なことは結果を出すことである。私は、政権発足以来、そう申し上げ、この7年8か月、結果を出すために全身全霊を傾けてまいりました。病気と治療を抱え、体力が万全でないという苦痛の中、大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはなりません。国民の皆様の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断いたしました」

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 そして、「総理大臣の職を辞することといたします」と述べた後、こう続けた。

「現下の最大の課題であるコロナ対応に障害が生じるようなことはできる限り避けなければならない。この1か月程度、その一心でありました。悩みに悩みましたが、この足元において、7月以降の感染拡大が減少傾向へと転じたこと、そして、冬を見据えて実施すべき対応策を取りまとめることができたことから、新体制に移行するのであればこのタイミングしかないと判断いたしました」

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