Q アメリカの内政問題で外交にも影響が…「連邦政府債務の上限引き上げ」ってどういう問題?
アメリカ連邦政府の債務上限引き上げを巡る与野党対立が激化し、バイデン大統領がG7広島サミット後に計画していた外国への訪問計画が中止になったことが報じられていました。
この数年、アメリカは常に内政問題でバタついて、それが外交にも影響しているように感じるのですが、中国やロシアとの関係もある中で、今回のような訪問中止が起こることは流石にちょっと異例だなと感じます。それほどまでの対応をせざるを得なかったこの「連邦政府債務の上限引き上げ」とは、いったいどういう問題なのでしょうか?(20代・女性・会社員)
A 自分たちの主張を通すためのチキンレースが…
アメリカも日本と同じように赤字国債を発行して予算を確保していますが、国債発行額が大きくならないように、議会で「債務の上限」つまり借金の上限を定めているのです。上限を定めていない日本とは、ここが異なります。
伝統的に「小さな政府」を志向する共和党は、債務が増えることに否定的です。トランプ大統領は予算の大盤振る舞いをしたので、本来の共和党であれば、これにブレーキをかけたはずですが、トランプ大統領のすることですから黙認したのですね。
でも、今度の大統領は民主党。政府支出にブレーキをかけて大統領を困らせようとしたのです。「大きな政府」を容認するバイデン大統領に対し、「社会保障の支出を減らせ」と迫っていたのです。
もし上限に達すると、連邦政府は新たな支出ができなくなります。具体的には国家公務員の給料を払えなくなり、公務員は自宅待機になります。政府のサービスがすべて止まってしむのですから、被害は甚大です。
ただし、FBIの警察官や軍隊の兵士に関しては、「後で給料払うから、とりあえずタダ働きしてね」と頼むのです。
でも、アメリカの政治や経済に大きな影響が出ることは明らかです。共和党も民主党も、債務の上限が近づく中で、自分たちの主張を通すためのチキンレースをしていたのです。