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「ババ引いたなあ、もう。どうにかしてよ…」青山学院駅伝部の原晋監督も泣いた!? “紙きれ”になった「クレディ・スイス債」が危なかったこれだけのワケ

「ババ引いたなあ、もう。どうにかしてよ…」青山学院駅伝部の原晋監督も泣いた!? “紙きれ”になった「クレディ・スイス債」が危なかったこれだけのワケ

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「ババ引いたなあ、ババ引いたよ、もう。どうにかしてよホントに」

 記者の直撃に対し、ほとほと困り果てたといった様子で語るのは、青山学院大学駅伝部を何度も日本一に導いた名将・原晋監督。

 原監督が引いてしまった“ババ”とは、世界最大手の金融機関、クレディ・スイスの債券のことである。4月6日に出演したフジテレビ「イット!」で、原監督は「(自分の資産が)紙切れになりました」と怒りの発言。「日本の投資会社は説明責任を果たしているのか」と疑問を投げかけた。

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写真はイメージ ©️AFLO

 SNSでは「自己責任だ」といった声が上がったが、日本政府が国民の貯蓄を投資へと向かわせている今、投資の失敗は多くの人にとっては他人事ではない。原監督の発言の真意やいかに――。

大学駅伝界で名を馳せ、今や一流の指導者の原晋監督

 原晋監督といえば、大学駅伝界の超有名人。中京大学在学中に5000メートルの日本インカレで3位に入賞した経歴を持つ。中国電力に入社後、同社で陸上部を立ち上げるが、故障などの影響を受け27歳で現役を引退。その後は営業マンとしてサラリーマン生活を送っていた。

「陸上競技とは無縁の生活を送っていた原監督ですが、2004年に青山学院の陸上部監督に就任。2009年に33年ぶりの箱根駅伝出場を果たすと、みるみる強豪チームへと育てあげ6年後にはチームを初優勝へと導きました。ビジネスマンとしての経験を活かした独特の指導方法を記した著作はベストセラーにもなっていて、駅伝界のみならず独自のリーダー論を持つ指導者として今最も注目されている人物です」(スポーツ紙記者)

 その一流の指導者が投資で大損、保有していた債券が「紙切れ」になってしまったというから驚きだ。前述の出演番組内でも宮司愛海キャスターが「まさか監督が投資をされていたとは」と目を丸くしていたのも無理はない。

クレディ・スイスの経営危機問題とは

 そもそも、クレディ・スイスの経営危機問題とは何なのか。経済部記者が解説する。

「事の発端はアメリカです。昨年から続くアメリカの政策金利の利上げの影響で今年3月、シリコンバレー銀行をはじめとした中堅銀行が経営破綻し、リーマンショックの再来も不安視されました。それによって『他の銀行も破綻するのでは』と世界的な金融不安が起こったのです。その影響を受けてしまったのが、クレディ・スイスなのです」

 クレディ・スイスの株価は急落し、一気に経営危機に陥る。最終的には他社に買収されることで倒産は免れたものの、同社が発行していた2.2兆円分もの債券の価値をゼロにする、と発表した。この価値が無くなった債券を原監督も所有していたために、前述のテレビ番組の「紙切れ」発言にいたったのである。

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