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「ババ引いたなあ、もう。どうにかしてよ…」青山学院駅伝部の原晋監督も泣いた!? “紙きれ”になった「クレディ・スイス債」が危なかったこれだけのワケ

「ババ引いたなあ、もう。どうにかしてよ…」青山学院駅伝部の原晋監督も泣いた!? “紙きれ”になった「クレディ・スイス債」が危なかったこれだけのワケ

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そもそも高いリスクを抱えていたクレディ・スイスの債券

 クレディ・スイスのような誰もが耳にしたことのある大きな金融機関が破綻するのはたしかに寝耳に水の事態。原監督が「ローリスクローリターンの安定的な投資」と言いたくなるのも十分理解できる。しかし、クレディ・スイスの債券はそもそも高いリスクを抱えていたと経済アナリストの森永卓郎氏は指摘する。

「今回問題になったのはAT1債という証券です。これは株券と債券の中間のようなもので、保証の度合いが低い代わりに金利が高い証券です。つまり、リターンは高いかもしれないが、リスクも高い商品なんです。クレディ・スイス債は10%近い異常な高金利だったのでリスクも相応に高いというのが市場の認識だったはずです」

 つまり、原監督がローリスクのつもりで保有していた資産は、実はハイリスクな証券だったということだ。

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写真はイメージ ©️AFLO

「人の良い原監督は証券マンに乗せられてしまったのでは…」

「こういった商品に手を出すのはギャンブルのようなもの。FXのように常に状況を監視できる人以外は手を出すべきではありません。原監督はきっと人が良いので証券マンに乗せられて買ってしまったのでしょう」

 原監督の心中をそう推し量る森永氏は、堅実に資産運用しているつもりであっても、現在の世界情勢では決して安心できないとも警告する。

「今回の世界的な金融不安はアメリカの利上げから始まったのにもかかわらず、5月にもさらに利上げがされるのではないかと多くのアナリストが予想しています。そうすると、今まで以上に金融不安は広まるので、多くの投資家にとって原監督のケースは他人事ではなくなるかもしれません。私は今のアメリカの株価はバブル状態だと思っているので、ここ2年以内に株式が大暴落して大騒ぎになるのではないかと考えています」

 貯蓄から投資へ、という世間の流れに水を差すような今回の騒動。どんな投資であっても、リスクがあることを肝に銘じなければならない。ならないが、虎の子のカネをすってしまった原監督の嘆きも痛いほどわかるのだった。

「ババ引いたなあ、もう。どうにかしてよ…」青山学院駅伝部の原晋監督も泣いた!? “紙きれ”になった「クレディ・スイス債」が危なかったこれだけのワケ

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