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なぜ出所後も立ちんぼに戻ったのか?

 被害者を殺害したのはこのときの仲間だった。

「リンチをした立ちんぼのなかで一番若くて下っ端だった20歳の子がいるんですね。下っ端だったから、わりと短い刑期だったんですよ。さて、月日は流れ、つい数カ月前、裏モノに詳しいある雑誌の編集長が、『僕、あの子を知ってます』っていうの。当時20歳だった彼女は刑務所を出たその足でハイジアの立ちんぼにもどっていたんです!

 わたしは他人事ながら暗澹たる気分というか、立ちんぼから殺人者になって刑務所に入ってやっと出てきて、なんで元のところにもどるの? どうして地道に働こうとしないんじゃ、なんで昼の仕事をしようとしないんじゃろかと思いました。そういうところはわたし、岡山の田舎の子なんですよ。普通の家の子なんで、そう思っちゃったんですよね」

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 岩井志麻子の知り合いのある編集長は、「彼女は行くところがないし、そこしかないんですよ」と自説を述べた。

「そうか、家もないし。中学校も行ったかどうかわからないような経歴で、あまり条件のいい仕事には就けないじゃないですか。と思っておったらね……わたし、ホリプロに所属してるんですよ。

 わたしのマネージャーの上司がいうには、『彼女の経歴でできる職業といったら、単純作業とか流れ作業とか清掃とかでしょう。地道で社会的に大切な仕事ではあるけれど、わたしは選ばれたという実感を一切味わえないじゃないですか。でも立ちんぼだったら何人かいる女のなかから、おっちゃんに、“君!〞って選んでもらえる。選んでもらえたっていうのを味わえるから彼女は立ちんぼをやってるんですよ』っていわれて、なるほどと。

 それをいったのが芸能プロのマネージャーっていうところに、承認欲求を見透かしてるんだなぁと思ったんです。ずん! ときました。わたしも、選ばれた! みたいなものをほしいわけですから。だからわたしもどこかで重なるんだなぁと思った次第でございますよ」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。