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金賢姫告白 捜査官との「禁断の恋」

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 だが、SPの監視がついているのでデートもままならない。そこで一計を案じたという。
「その頃は、韓国に親戚がいることがわかり、親戚の家に泊まることが多くなっていました。SPは私をそこへ送り届けると、帰ったんですね。私はいったん家に戻り、護衛が帰ったのを見届けてから、旦那さんとデートをしました。

 ほどなく安企部は、私が密かに誰かと会っていると気づきます。でも安企部の上司は交際相手が自分の部下だと知り、むしろ安心し、デートを認めてくれました。しかし、いくつか制約がありました。『ソウル市内から出ないこと』『デートの前と後は必ず連絡を入れること』『人通りが多い場所ではメガネ、帽子を着用すること』でした。

 制約があっても、私には初めての青春でした。そして、普通の生活をしてみたいと思うようになりました」

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テロ被害者に印税を全額寄付

 ただ、結婚に至るまでの道のりは厳しかった。

「大韓航空機爆破事件の被害者家族にも報告しました。謝罪したうえで、私が書いた本の印税の全額8億5000万ウォン(約8500万円)を渡し、承諾を得ました。

 でも、上司からは結婚の許可は出ませんでした。私と結婚したら、部内で難しい立場になると言われ、周りからの圧力もあり、旦那さんは安企部をやめざるを得ませんでした。でも、退職しても許可が下りず、結婚できないまま、旦那さんはお兄さんの工場を手伝っていました。退職翌年の1997年12月、突然、安企部から、結婚を許可すると、連絡が入りました。私は、韓国で10年生活し、35歳になっていました」

 それだけの苦難を乗り越えて結婚したにもかかわらず、さらなる苦難が金賢姫を待ち受ける。

 そして、韓国と北朝鮮の禁断の恋を描いたドラマ「愛の不時着」を見た感想は?――

――金賢姫のインタビュー「捜査官との『禁断の恋』」は、6月9日発売の「文藝春秋」7月号に全6ページにわたって掲載されている。(「文藝春秋 電子版」では6月8日に公開)。

金賢姫告白 捜査官との「禁断の恋」

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