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LiLiCo はい、家族でごはんを食べようとなって。そこでお父さんの新しい彼女に会えたんです。スウェーデンではそういう存在を「ボーナスママ」と呼ぶんですよ、「特別にプラスしていただいたお母さん」という意味なんですが。

 彼女はブリットという名前なんですけど、すごく私に興味を持ってくれて、「あなたのことを教えて。お父さんは何も教えてくれないんだから」と盛り上がって。その感覚がとても幸せで、すっきりした感じで不思議だったんですけど、気づいたんですよね。

 私、家族でごはんを食べて喧嘩をしなかったのが初めてだったんです。子どものときは、食事中にお母さんが「お父さんが臭い」とか、そんなことばかり言って食卓の雰囲気が悪かったので。だから、ブリットやお父さんとごはんを落ち着いて食べることができたのがすごく良かった。

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©三宅史郎/文藝春秋

父親の新しい彼女に言われた忘れられない一言

――ボーナスママと言うだけあって、本当にいい出会いをもらえたんですね。

LiLiCo そう、だから家族はつくり直せるんですよね。ブリットのおかげで、私には今素晴らしい家族がいます。

 それから、スウェーデンに頻繁に帰るようになったんですよ。もうお母さんがいないから、喧嘩にならないから、スウェーデンの良さを日本の皆さんに広めたくって。自分で考えた番組の企画を通して、撮影もかねて仕事で帰ったりしていたんですね。

 そうしたら、ブリットから忘れられない一言を言われて。「このカメラはいつなくなるの?」と。

――「テレビクルーが毎回一緒にくるのはどうしてなのか?」ということですよね。

LiLiCo そうです。そこで私、ハッとして。だからそれ以来、取材とかはあまり受けないようにして。

――なんというか、愛情を感じる一言ですね。

LiLiCo ね。まったく血の繋がっていないブリットが、私を娘だと言ってくれること、私を叱ってくれるときもあるし、励ましてくれることもある。あの言葉は、私の目を覚ましてくれたんだなぁと思います。とても嬉しかった。

©三宅史郎/文藝春秋

 5年前のクリスマスには、どうしてもイブにスウェーデンに帰りたくて、実際に帰りました。48時間くらいしか帰れないんだけど、それくらいの価値があったんです。30年ぶりくらいにクリスマスを家族と過ごせたんですね。ブリットと、エバという彼女の娘、私からすれば妹ですね。あとはエバの彼氏が、私の弟の子どもたちの面倒をみてくれて。本当にいい家族になったなと思っていますし、私にとってとても大切な存在なんです。

撮影=三宅史郎/文藝春秋

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