かつて暴力団員で、薬物の売人、使用者だった弁護士の諸橋仁智氏(46歳)。異色の経歴を持つ氏が語った、体験者だからこそわかる「薬物の恐ろしさ」とは?

 諸橋氏による初の著書『元ヤクザ弁護士: ヤクザのバッジを外して、弁護士バッジをつけました』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

元ヤクザ弁護士――異色の経歴を持つ氏が語った「薬物の恐ろしさ」とは? ©彩図社

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覚醒剤に溺れる

 僕はシャブに溺れていった。

 最後は、とんでもないバカなことをして警察につかまって精神病院へつっこまれた。

 そして一家からも破門された。

 20歳でシャブをつかいはじめてからずっとアブりだったけど、26歳のころから次第に注射で使うようになった。

 注射でつかった経験は、神田のヤミ金だった21歳のころから何度かあったけど、そのころは興味本位で仲間に射ってもらっただけだった。そもそも自分で注射するスキルがなかったし、注射よりもアブりの白いケムリを吸い込む光景に魅力を感じていた。

 言い訳になるが、商売をしていなかったら僕はポン中にはならなかっただろう。

 仕入れのときに、どうしても味見の必要があった。そして、手元にいくらでもブツがある環境だったから、ポン中にならざるをえなかった。

「商売しても身体に入れるな」なんて格言をよくアニキに聞かされたが、これを実践できているシャブ屋なんてほとんどいない。ほとんどのシャブ屋が自分でも使っていた。