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《写真あり》他人の腕の血管をみるたびに注射を打ちたくなったことも…ヤクザ→薬物中毒→46歳・弁護士の壮絶人生

《写真あり》他人の腕の血管をみるたびに注射を打ちたくなったことも…ヤクザ→薬物中毒→46歳・弁護士の壮絶人生

『ヤクザ弁護士』 #1

2023/06/06

genre : ライフ, 社会

note

精神薬を多用

 注射器の仕入れは、某所からしていた。

 シャブ業界では有名な注射器屋さんで、もちろん警察にも知られていたから、そこに行った帰りには職務質問をされるという噂をよくきいた。僕はいつも原付で買いに行っていたから、近くにいつも停まっていたパトカー横をサーっとすり抜けて何事もなかった。

 注射器の仕入れは、一箱280本入り(14本の束が20束)で1万5000円くらいだった記憶だ。注射器は売り物というより、小売パケのお客さんにサービスでつけていた。コンビニで言うところの「お弁当のおはしいりますか?」みたいなものだ。

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 この注射器屋さんには、精神薬(安定剤や睡眠薬)も売っていた。

 ハルシオン、リタリン、エリミンなどだった。

 ベゲタミンもあったけど、何度か飲んで意識がまったくなくなるという経験をしたから、これはやばいと思ってやめた。

 ある時から僕はそれらの安定剤や睡眠薬を買って、フリスク感覚でぽいぽい飲むようになってしまった。飲んだ時は何も感じないのに、半日くらいするとまた飲みたくなる、そのうち飲んでいないとイライラするようになっていった。

 10錠の1シート1000円くらいだったけど、3万円分くらい買っても1週間でなくなるくらい頻繁だった。人にあげていたことを考慮しても、飲みすぎだ。

 シャブの仲間からも「精神薬はもうやめろ」と言われるくらい、精神薬を飲みすぎていて、結果的にいろいろやってバカになった。シャブか低血糖か精神薬か、どれが一番の要因かなんて分からないけど、この精神薬依存もバカになった要因の一つではあるのは間違いない。

 精神薬の怖いところは、違法でないということだ。

 まず、警察に捕まるリスクがないからいつも持ち歩いていた。

 人前で「クスリです」と言って錠剤を飲んでもなんら不自然じゃない。注射やアブりだとそうはいかない。アルコールも合法だけど、電車でプシュっとやるには抵抗があるだろう。精神薬はどこでも誰といてもおかまいなしに摂取できるという点で、ハマりやすく抜け出しづらさがあった。(#2に続く)

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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