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木村 いえ、まったく。いつも通りの飯島さんでしたね。中田さんが亡くなったのを知ったのは訃報が公にされた2月9日(木村―飯島戦の翌日)でした。それから1週間ほどして、順位戦の前日に亡くなっていたことを飯島さんから直接聞きました。

研究会の回数自体は若い時と変わっていないのですが…

――飯島さんの名前が出ました。木村九段と飯島八段は長年にわたる研究パートナーであることが知られています。

木村 飯島さんとは1ヵ月~1ヵ月半に1回の間隔で指していますね。他には弟子なども相手に、1ヵ月に10回くらい研究会やVSをやっています。やり過ぎかもしれません。

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――やり過ぎという感覚はどのような時に出るものですか。

木村 まず現在の自分がやるべき課題としてトップ棋士、あるいは近日中に当たる相手の将棋を並べて対策を練るというのがあります。その対策を研究会でぶつけた上で、さらに改良案を練ることになるのですが、改良案を練り上げる前に次の研究会を行うのが無駄というか、やり過ぎなのかなと。研究会の回数自体は若い時と変わっていないのですが、以前と比べると改良案を練ることができなくなっていますね。ただ研究会のルーティンが速いと、だらだらしない良さもあります。

 

――改良案を練るために将棋ソフトを活用されることはありますか。

木村 ソフトを使って、悪いところを直すことはある程度できますが、そこから新たなものを生み出すのは自力で考える必要があります。ソフトの発展で、その新しいものが出しにくくなりました。もっと突き詰めると、局面によっては新しいものがなくなっている可能性もあります。自分が感じた行き詰まりを消化できないまま次の研究に移っても、取り残しが後で響いてくるのではないかなと考えますね。

プロの対局の見られ方が将棋ソフトによって変化

――将棋ソフトの実力向上で、新戦法が登場しにくくなったとは言われます。

木村 大げさな表現かもしれませんが、新しい戦法は構想そのものが潰されるようになっています。以前の横歩取り△8五飛や藤井システムといった画期的な戦法は、今後もう出てこないでしょうね。人をあっと驚かせる指し方を見せても、その手順を将棋ソフトに的確にとがめられてしまいます。その不利をひっくり返せる終盤力があればいいのですが、それもなかなか難しいですね。