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《機密漏洩事件判決》秘密を持ち出した「かっぱ寿司」前社長が隠したかった、家庭内不和と職場女性との親密な関係【懲役3年・執行猶予4年】

《機密漏洩事件判決》秘密を持ち出した「かっぱ寿司」前社長が隠したかった、家庭内不和と職場女性との親密な関係【懲役3年・執行猶予4年】

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 31日、「かっぱ寿司」の運営会社「カッパ・クリエイト」の元社長、田辺公己被告に懲役3年、執行猶予4年、罰金200万円の判決がくだった。

 田辺被告は2020年、勤めていた「はま寿司」の運営会社から「かっぱ寿司」に転職する際、営業秘密にあたる売り上げや仕入れのデータを持ち出したとして、不正競争防止法違反の罪に問われていた。

 田辺被告は動機について、「転職先で部下に舐められたくなかった」「マウントを取りたかった」などと述べていた。

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 熾烈な回転寿司業界のキーパーソンが起こした“産業スパイ”さながらの事件。田辺被告と回転寿司チェーンの闇に迫った、当時の記事を再公開する。(初出:2022年12月28日。年齢、肩書は当時のまま)

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「業務上知り得た機密情報を外に出さない」

 転職経験者ならば、この文言のある秘密保持の契約書にサインした覚えのある人も多いだろう。会社の大小、有名無名を問わず、現代の企業が最も腐心するこの機密保持を、経営トップが堂々と破っていたことが発覚し、世間に衝撃を与えた。回転寿司業界・ビッグ4の一角を占める「かっぱ寿司」で社長を務めていた田辺公己被告(46)は不正競争防止法違反の疑いで逮捕、起訴されている。

田辺公己被告 Ⓒ時事通信

原価や仕入れ価格を「ギガファイル便」にアップロード、USBメモリに保管

 12月22日、東京地裁。回転寿司大手「はま寿司」の営業秘密を不正取得し、転職先のかっぱ寿司側に提供したという、かっぱ寿司の運営会社「カッパ・クリエイト」前社長・田辺被告の初公判が開かれた。田辺被告は黒い上下のスーツに身を包んで入廷し、検察側が告げた起訴事実に相違があるか問われると、「ありません」と認めた。社会部記者は事件の概要をこう話す。

「田辺被告は2020年9月30日、自宅近くの湘南のカフェで、新卒から長年サラリーマンとして勤め上げていた、はま寿司の運営元『ゼンショーホールディングス』の商品原価や、仕入れ価格の情報を『ギガファイル便』にアップロードし、USBメモリに保管しました。その後、かっぱ寿司の仕事を始めた際、そのデータを自社のモノと比較して利用したのです。東証プライム上場企業の最高幹部が逮捕・起訴されるのは極めて異例です」

 検察側は初公判で、田辺被告がデータを活用して「カッパ・クリエイトの業績向上を図ることを考えた」「上司に対する不満を持ったことで転職を考えるようになった」と指摘。犯行に手を染めた田辺被告の不満は、どのような経緯で爆発したのか。