〈あらすじ〉
1972年、西ドイツ・ケルン。著名な映画監督ピーター・フォン・カント(ドゥニ・メノーシェ)は、オフィスを兼ねた瀟洒なアパルトマンに、カール(ステファン・クレポン)という若い助手と暮らしていた。ある日、親友の大女優シドニー(イザベル・アジャーニ)から青年アミール(ハリル・ガルビア)を紹介され、一瞬で心を奪われる。9カ月後、ピーターの公私にわたる尽力により、アミールは映画界の新星として注目を集めていたが……。
〈解説〉
『すべてうまくいきますように』に続くフランソワ・オゾンの監督・脚本作。ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』(1972年)をアレンジした室内劇。美青年に恋した映画監督の姿を通して、愛の本質に迫る。85分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★☆少々、苦手な監督だったが、これは文句無しに笑えた。元恋人や女たちの描写も。新恋人(?)はもっと美貌でもよかった。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆愛欲の衝動は月並だが、痴態をさらしつづける巨体の妄想家と、引きに徹した観察者の対比が面白い。奇怪なメロドラマ。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆報われない恋に身を焦がす体験があれば貴方の苦い涙も反芻可能。欲張りなピーターの自分勝手な素直さは軽蔑できず。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆オリジナルへの敬愛に満ちた「ファンの返歌」として最高。『焼け石に水』と同様に歌謡映画の色合いを強めたオゾン流。
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洞口依子(女優)
★★★★★お見事なオゾンのファスビンダー。表面張力的に魅了する画力。メノーシェとシグラの素晴らしさに最後の最後まで唸る。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
INFORMATION
『苦い涙』(仏)
6月2日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
http://www.cetera.co.jp/nigainamida/