皮肉や社交辞令が通じない、衝動性が強く落ち着きがない、いわなくていいことを口にしてしまう、遅刻や忘れ物が多い……。「発達障害」と呼ばれる脳の特性は、さまざまな形で行動に現れる。そのロジックを解説し、さらに、当事者の振る舞い方と周囲の人の接し方、双方の立場での実践的な問題解決のヒントを添えた本が、好調な売れ行きを見せている。
ポイントは解説文とセットになったマンガにある。
「マンガの上段は周囲からの発達障害当事者の見え方、下段は当事者目線からの同じ状況の見え方を描いています。当事者とまわりとのズレをしっかり示し、そこから生じる『生きづらさ』とその解決方法を具体的に、わかりやすく伝えることを意識して編集しました」(担当編集者の菊地貴広さん)
このような症状があれば発達障害だ……というような安易な決めつけは避けながらも、なるべく具体的な状況に即して書かれており、参考にしやすい。
主な読者層は30代・40代の子育て中の女性。読者ハガキでは、小児科医やカウンセラーといった、発達障害の当事者と接する機会の多い職業の人からの反響も目立つそう。
「発達障害を専門に扱う職種以外であっても、当事者の方と接する機会は少なくありません。そうした方々の参考にしていただけているようですね」(菊地さん)