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松本 一気にリフォーム出来なかったので、2回に分けて行ったんですよね。1回目が約350万円、2回目が約250万円で、総額600万円くらいかかりました。

 屋根や壁、水回りを直すだけでなく、和室の畳を板の間に替えたりもして。そのときは、「ここが自分の第2の家になるんだ」と住む気満々でした。でもやっぱり東京で仕事をしていると、高松に何度も帰るのは難しくて。

25年間も空き家状態にしていた高松の実家(写真提供=松本明子さん)

なぜ東京と高松の2拠点生活をしなかったのか?

――2拠点生活は考えなかったんですか?

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松本 考えたこともありましたけど、東京から高松はなかなか遠いので、実現しませんでした。もし週に1度でも、地元の近くに行くようなレギュラー番組とかがあれば、また違ったんでしょうけど。基本的に仕事は東京なので。最終的には、年に1回行くかどうかになってしまって。

 誰か住んでくれる人がいないか、地元の親戚や知り合いに声をかけてみたりもしたんですけど、みんな持ち家があるから、丁重にお断りされてしまって。飲食店として使ってもらえないかとか、自治体の集まりに活用してもらえないかとか、いろいろ考えて各方面にお声がけをしたんですけど、ことごとく断られてしまいました。

――実家をどうするか決まらないまま、維持管理費だけが発生している状態になってしまったと。

松本 そうです。結局、25年間も空き家状態にしてしまいました。その間に、先ほどお話しした維持管理費が約1000万円、リフォーム費と合わせたら、総額で約1600万円も費やしてしまったんです。

 

――節約家として知られる松本さんが、空き家にそれだけのお金を費やしていたのは意外でした。

松本 月々の出費はそれほど大きくないから、生活費を節約すれば大丈夫かなと思って、ズルズルと払い続けてしまったんですよね。でも息子が大きくなって、予備校や塾などの教育費が増えていくにつれて「これは実家に毎月お金をかけている場合じゃない」という思いが大きくなっていったんです。

撮影=三宅史郎/文藝春秋

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