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「家の価値はゼロと言われた」実家を600万円で売却、20トンのゴミ処分…松本明子(57)が語る「実家じまい」の苦労

松本明子さんインタビュー #2

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松本 まず、高松の不動産屋に実家を査定してもらったんです。そしたら、「築45年と古いので、家の価値はゼロ、土地の価値が200万円」と言われてしまって。父が約3000万円もかけて建てた家が、10分の1以下の値段でしか売れない。それを聞いて、ガクッとしてしまいました。

 そしたら不動産屋が、「賃貸にも売却にも対応できるよう、多くの人が閲覧できるサイトに載せるのはどうですか?」とアドバイスをしてくれて。私もそのほうがいいと思って、藁にもすがる気持ちで香川県が運営する「空き家バンク」に申し込みました。

約3000万円もかけて建てた松本明子さんの実家外観(写真提供=松本明子さん)

 空き家バンクに申し込んだあとは、本当に住める状態かどうか、耐震基準には合格しているか、壁にヒビや歪みがないか、床は傾いていないかなどを専門家に現地査定してもらって。その調査で問題がなかったので、写真付きの物件情報を登録してもらいました。

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実家を更地にするのに500万円もかかることが発覚

――家の状態は問題なかったのですね。

松本 実は私が実家に帰れていない間にも、親戚やご近所の方に合鍵を渡して、年に何回か、家の中の空気を入れ替えてもらったり、少し掃除をしてもらったりしていたんです。それが良かったのかもしれません。皆さんに協力していただきながら、実家の維持管理をしていましたね。

――ちなみに、家を取り壊すという選択肢はなかったのですか?

松本 不動産屋に査定してもらったとき、更地にしたほうが買い手が付きやすいと言われたんです。でも、更地にするのに約500万円もかかると言われてしまって。建物を取り壊すだけでなく、庭の石灯籠や石垣、石段もすべて重機で取り除かないといけないということで。

 

――200万円の土地が売れたとしても、300万円の赤字になってしまいますね。

松本 そうなんです。だから更地にするのは諦めて、賃貸と売却の両方で空き家バンクに登録しました。

――空き家バンクに登録する際の売却希望金額はいくらだったのですか。