文春オンライン

「家の価値はゼロと言われた」実家を600万円で売却、20トンのゴミ処分…松本明子(57)が語る「実家じまい」の苦労

松本明子さんインタビュー #2

note

松本 20トンくらいです。2トンのトラックを手配して、1回10万円で廃棄してもらいました。それを10回に分けて行ったので、計20トン分で100万円の出費です。

――実家の維持管理費やリフォーム代だけでなく、廃棄する際の出費や諸経費を合わせて総額1800万円以上かかったということですよね。

松本 そうです。引き渡し期限の直前には、10日間くらい高松に泊まり込んで家の中を整理したのですが、宿泊費を節約するために1泊2000円の健康ランドに泊まりましたよ。本当に大変でしたけど、自分で「捨てる・捨てない」を判断しながら作業できたのは良かったです。

ADVERTISEMENT

思い出の品を自ら取捨選択できたのは良かったという(写真提供=松本明子さん)

――東京のご自宅に持ち帰ったものはどれくらいあったのですか?

松本 段ボール20個分くらいですね。27年の付き合いになるドライバーさんにお願いして、東京と高松を車で往復しました。片道約10時間かかるので、往復で約20時間。それを7往復したので、延べ140時間くらいかかりました。

――時間的にも体力的にも大変だったんですね。

松本 でも、親が残したものに目を通すことで、改めて親への感謝の気持ちを持てて良かった。良い人生経験になったと思います。

「家族で揉めなかったのは良かった」松本さんが振り返る実家じまいの反省点

――ご実家を引き渡すときは、感慨深かったのでは?

松本 実は、「本当にこれで良かったのかな」「天国の父は怒っていないかな」と複雑な気持ちもあったんですよ。でも、新しく住んでくれるご夫婦に家の鍵を渡したら、「最低でも20年は住みます」と言って喜んでくれたので、それが嬉しかった。肩の荷がおりて、ホッとしました。

――ご自身の実家じまいを振り返って、反省点などはありますか?

松本 もっと早い段階から親と一緒に物を処分したり、実家を将来どうすべきなのか家族で話し合っていればよかったと思いましたね。そしたら、こんな大赤字を抱えることはなかったのかなと思います。

 

――逆にやっておいて良かったことは?

松本 父が生前から相続のことをきちんと決めていたので、家族で揉めなかったのは良かったです。あと、赤字にはなったけど、リフォームや修繕をしたりして、丁寧に実家を維持管理したこともですね。売却の際は、それが功を奏したと思います。

――相続や遺品整理の話は、なかなか家族で話しづらいですよね。