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「家の価値はゼロと言われた」実家を600万円で売却、20トンのゴミ処分…松本明子(57)が語る「実家じまい」の苦労

松本明子さんインタビュー #2

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松本 せめてリフォーム費用の元は取りたかったので、売却で600万円、賃貸で月10万円にしていました。でも、担当者には「いつ売れるかわからないですよ。10年、20年もサイトに載せている物件もありますから」と言われてしまって。私も期待しないようにしていました。

 ただ、できるだけのことはしようと思って、間取りや築年数、住所、外観写真はもちろん、家の中の様子がわかるように、屋内の写真も全部掲載して。撮影の前には家を掃除したり、草木を手入れしたりして、少しでも写りが良くなるように。

松本明子さんの実家内観(写真提供=松本明子さん)

600万円の希望額で売却が成功した経緯

――購入希望者からの連絡はありましたか?

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松本 登録してすぐに連絡はありましたけど、「100万円で買い取りたい」という方だったり、「賃貸で月2万円希望」という方だったりして、なかなか条件が合わず。契約には至らなかったんです。

 でも、登録して3か月後くらいに問い合わせてくれたご夫婦が、600万円で購入してもいいと言ってくださって。

――どんなご夫婦だったのですか。

松本 70代前半の高齢のご夫婦でした。2人とも高松出身で、私の実家がある地域で生まれ育ったそうです。結婚したあとは、お仕事の都合で滋賀県に移住したのですが、老後は自分たちが生まれ育った場所で過ごしたいということで。たまたま私の実家のエリアにある空き家を探していたんですよ。

――すごい偶然ですね。

松本 奇跡的なご縁ですよね。連絡をいただいたあと、実際に家を内見してもらったら、きれいに管理されていて、リフォームされているところも気に入ってくださって。引っ越してすぐに住める状態だからというのもあって、600万円で購入を決めてくれたんです。

希望額の600万円で売却成功。しかし、家には物が溢れかえっていた…(写真提供=松本明子さん)

――売却から引き渡しまではどれくらいの期間があったのですか?

松本 3か月くらいですね。それまでに家の中を片づけたのですが、本当に大変だった。両親が戦時中に生まれていて、物を捨てない時代で育ったからか、家の中が物で溢れかえっていて。

――どんな物があったのでしょうか。