「授かる」という意味の英語「Gift」が語源の「ギフテッド」は、先天的に高い知性や共感的理解、倫理観などを持っている人のことを指す。そんなギフテッドとして実情を発信するのは民間企業勤務の吉沢拓さん(37)。
幼少期から周りと違うことに悩み、社会に出てからは3度の休職を経験し、周囲に理解されない自分に苦しんでいたそう。吉沢さんにギフテッドの特性や休職した経緯などについて話を聞いた。(全2回の2回目/最初から読む)
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上司からめんどくさいやつに認定される
ーー前回のインタビューで、「社会人になってからが地獄の始まりだった」とおっしゃっていましたが、具体的にどのような状況だったのでしょうか。
吉沢 入社時の集合研修では、最後に行われたチームでのシステム開発演習でリーダーとして最優秀として表彰されたんです。周りからも「すごいね」と評価してもらってやっていけそうだなと思っていたんですが、現場に配属された後、上司の考えや発言が純粋に理解できず、上司と衝突することがあって。
小学校の時にもあったように、「なぜこうなの?」「こっちのやり方の方が上手くいくのに、なぜやらないの?」と思った時に、納得できる答えがないと先に進めないんです。それで上司に聞くんですけど、上司からはめんどくさいやつ認定されてしまって。その噂が社内に広まっていったようで、コミュニケーションが取りづらい状況になってしまいました。
「頭が悪いんだな、俺は」って自分を責めてしまっていましたね。周りも、この人頭だけはいいんだけど……みたいな感じで。
心身共に体調を崩して休職することに
ーー優秀だという評価がある一方で、めんどくさいと思われてしまうこともあったと。
吉沢 異例のありがたい評価を受けることもあれば、全否定されるような評価を受けることもありました。ただ不思議なことに、褒められる時と嫌われる時の評価は、同じ人間の評価とは思えないくらい真逆なんです。
問題児扱いされることもあれば、「理解が早く共感性に長ける」と言われ信頼していただけることもあって、びっくりするぐらい正反対です。以前の職場で休職に入る際に、その過程の出来事を聞いた執行役員や人事部門の人から、「君のような人が会社に必要だ」と言われたこともありました。