社長は「個人情報には答えない」と言うが…
真相を確かめるべく、江戸川区の不動産会社(仲介業者)を2度訪ねて取材を申し入れたが、社長は不在だった。後日、社長本人から筆者に電話があり、「個人情報には答えない。取材は受けないのが会社の方針」と述べた。だが、言うまでもないが、女子医大の土地取引は、個人情報とはいえないだろう。
東京地検元検事の落合洋司弁護士は、今回の土地取引をめぐる「第4の疑惑」について、次のように見解を述べる。
「土地取引で、あたかも実態業務を伴っているように見える仲介契約に手数料を払った場合、実は違っていたら権限濫用であり、背任罪(*注)の疑いがあります。単に交渉の場に同席したとか、謄本の取得や連絡窓口だった程度で、1600万円以上の手数料は常識的にあり得ません。
背任罪の構成要件である『自己の利益を図る』という観点で考えると、警察は岩本氏に仲介手数料の一部がキックバックされたのか、まず注目するでしょう。ただし、背任罪には『第三者の利益を図る』という要件もあるので、仮にキックバックがなくても立件は可能と考えられます」
(*注:刑法247条=他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する)
警視庁捜査2課が、岩本絹子氏に対する告発状を受理して約3カ月、極秘に進められている捜査の行方に注目したい。
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