〈あらすじ〉
モロッコの海沿いの街、サレ。旧市街の路地裏で、家業を継いだハリム(サーレフ・バクリ)と妻のミナ(ルブナ・アザバル)は、伝統衣装カフタンドレスを制作する、小さな仕立て屋を営んでいる。腕のいい職人のハリムは手仕事にこだわり、ミナが接客担当として夫を支えてきた。病魔に侵され余命わずかなミナは、芸術家肌で内向的な夫を一人残すことを案じ、一方のハリムは、妻への隠し事に苦悩していた。
山積みの注文をさばくために、2人はユーセフ(アイユーブ・ミシウィ)という若い男を助手として雇う。筋が良く、ハリムの美意識に共鳴するユーセフに、ミナは嫉妬の感情を抱き始める。
〈解説〉
『モロッコ、彼女たちの朝』に続く、マリヤム・トゥザニ監督・脚本作。25年間連れ添った夫婦の愛と葛藤、決断を描く。第75回カンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞受賞。122分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★★説明的場面は極力おさえ、ふとした場面とわずかなセリフで、3人それぞれの微妙な真意を描き出す。男と女。生と死。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆対象を見つめる親密なキャメラが、裁断の匂いを漂わせない。映画を織る行為とカフタンを編む行為が徐々に合流する。
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斎藤綾子(作家)
★★★★★カフタンの刺繍のように3人の想いが美しく丁寧に綴られてゆく。愛も死も性も絶望ではなく優しく力強く感じられた。
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森直人(映画評論家)
★★★★★モロッコ映画の新しい風。伝統と現代を巡る批評的な眼差しと、戒律への果敢な挑戦が愛の物語を崇高な迫力へと高める。
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洞口依子(女優)
★★★☆☆伝統、儀式、料理、果物、金糸を通じ彼らの人生を観察。手元、音が紡ぐ抒情的な映像は静かなメロドラマを織りなす。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
INFORMATION
『青いカフタンの仕立て屋』(仏、モロッコ、ベルギー、デンマーク)
ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開中
https://longride.jp/bluecaftan/index.html