1万円を超えると何が違う?
稲田 最初はそう思いましたが、1万円を超える白の無地Tシャツの中には、たしかな違いを感じられる優秀なものが少なくないんです。
――たとえば、どこが違うんですか?
稲田 共通して言えるのは、生地の質が高いこと。1万円超えのTシャツの多くは、ピマ・コットンなどの繊維長の長いコットンが使われています。こうした上質なコットンは、高価な分、上品な光沢としなやかな風合いを兼ねそなえ、洗濯を繰り返しても型崩れしにくい特長を持っています。
他にもステッチラインが肌に当たらないよう工夫されていたり、負荷のかかりやすい部分が丈夫な作りになっていたり、細部も凝った作りになっています。
シルエットにもこだわりが詰まっています。身頃の幅や袖、裾の長さで印象はがらりと変わるため、ミリ単位で調整を繰り返して、よりスタイリッシュに見えるシルエットをつくり出します。
低価格のものよりも長く着られる
――素材と手間ひま……価格の理由はここにあるんですね。
稲田 コスパも優秀です。コットンの質が高いだけでなく、生地も厚手のしっかりとしたものが多いので、低価格のものよりも長く着ることができます。Tシャツの弱点であるネックラインも丈夫に作られています。
それに色やデザインが凝ったTシャツだと、「いつも同じTシャツを着ているな」と思われるかもしれませんが、白の無地ならそんな心配も不要です。平日はスーツ、土曜と日曜は白の無地Tシャツと決めてしまえば、服装に迷ったり、あれこれ服を買って無駄遣いしたりすることも少なくなるはず。週末だけ着るなら、2、3枚でひと夏を越せますから。ミニマリスト志向のひとにもぴったり。
――選び方のコツはありますか?
稲田 生地が薄いと、体が透けるのが気になる場合があるので、厚みはチェックした方がいいですね。着こなしに合わせたサイズ選びも大切です。ジーンズやチノパンと合わせてカジュアルに着るなら、ややゆったりめが、ジャケットやニット、スラックスなどに合わせるなら、ジャストサイズがおすすめです。
――稲田さんのマイベスト・白無地T・ベスト3を教えてください。