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昨年は約3000枚の売り上げを突破

――生地にも高級感がありますね。

稲田 ピマ・コットンの中でも最高級のスーピマコットン、その中でもさらに最上級のエクストラロングステーブル(超長繊維)が使われたコットンジャージーです。なめらかになるよう糸に撚りをかけ、さらにガス焼きによって不純物や毛羽が取り除かれた糸で編まれているので、肌触りはまさに極上です。

 ほかにも、ネックラインを折り返したり、各所のステッチ数をすべて指定したり、キレイに見えるよう随所に工夫が凝らされています。

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 デビューして20年近く経つ定番にもかかわらず、昨年は約3000枚を突破。リピート率が高く、夏前に2、3枚まとめ買いする人が多いらしいです。

 白無地Tシャツといえば、2枚セットになったアメリカの“パックT”がおなじみ。一般的なパックTは数千円のリーズナブル価格ですが、こちらは英国の高級ニットブランドが作った2万円超えのパックTです。

――2万円を超えるパックTがあるんですね!

(3)「ジョン スメドレー」の“パックT”

2万2000円(2枚)/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー TEL 03-5784-1238)

稲田 その分、パフォーマンスは高いですよ。適度な厚みのある生地は、繊維長の長いスーピマコットン。シルクのような光沢としなやかな風合いが特徴で、肌触りもサラッサラ。

 縫製にもこだわりがあり、身頃はシームレス仕様に。サイドに縫い代がないため、肌触りがよく、さらに着た時に体のラインがすっきり見えるんです。

 もともとはジョン スメドレーのセーター用のインナーとして開発されたものだけあって、ニットやカーディガンと重ね着したときに、すごくバランスがいいんです。ただ、ネックも適度にワイドで、シルエットもややゆったり目。なおかつボディも適度な厚みがあるので、1枚で着ても格好よく見えるんです。

 2枚で2万2000円とやや値が張りますが、ジャケットやカーディガンの下に着てもよし、1枚で着てもよし。“ヨソ行き”の白無地Tシャツとして重宝しています。

値段の上限については?

――たくさんの白無地Tシャツをお持ちですが、値段の上限についてはどうですか?

稲田 私が買う場合、1万円台前半までが基準です。もちろんハイブランドの中には、4、5万円するTシャツはざらにあります。でもそれは、そのブランドのプレステージやデザインに感じるところがあるからお金を払うわけです。こうしたTシャツを買うのは、アートや美術品を購入する感覚に近いと思うんです。

 その点、私にとって白の無地Tシャツは、ファッションアイテムであると同時に日常着でもあります。Tシャツ1枚で着ても格好よく見えて、かつ実用性も高いもの。こう考えると、自然と1万円ちょいのものがちょうどいいんです。

――最後に1万円超えの白無地Tシャツの魅力をあらためて教えてください。

稲田 白無地Tシャツと聞くと、ひと昔前のテレビドラマに出ていた俳優さんたちやハリウッドのセレブなんかを思い浮かべる人は少なくないはず。

 でも、白無地Tシャツはどんどん進歩していて、今ではイケメン限定の服じゃなくなりました。着慣れないのは別として、白の無地Tシャツが似合わない、という人はまずいないと思います。

 あれこれ小細工をする必要なく、着るだけで、誰でもインスタントに格好よくなれるのが白無地Tシャツのパワー。こうして話していると、また白無地Tシャツが欲しくなってきました(笑)。

いなだ・いっせい/1983年神奈川県横浜市出身。スタイリストの吉野誠氏に師事後、2017年に独立。雑誌やWeb媒体ほか、ブランドのカタログや映画のスタリイングなど幅広い分野で活躍。ロードバイク選手としての顔も持ち、今年の「第19回富士ヒルクライム」では59分30秒のタイムを叩き出した実力者。