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「3、4日同じものを着ても何とも思わなくなった」生理用品まで倹約…日雇い派遣から脱出できない女性(29)の“ギリギリ生活”

『お金がありません 17人のリアル貧困生活』より #2

2023/07/06
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3、4日同じものを着ていても何とも思わなくなってきた

「最近はお洒落にも関心が薄くなってきました。3、4日同じものを着ていても何とも思わなくなりました。さすがに汚れたりシミがついたりしたものは着ませんけど、トレーナーとかジーンズは1週間着続けちゃうことがある。駄目だとは思うんですがズボラになっていきますね」

 新品のアンダーウェアー、インナー、アウターを買うにしても近所のスーパーに入っているGU、しまむらが定番。買い物を楽しむということもなくなった。

「こんなことを話すのは恥ずかしいのですが、お金がないのを痛感するのは生理のときです。生理用品まで倹約しますからね。以前から使っていた16個398円のものをやめ、20個348円ぐらいの特売品に変えました。生理痛を抑える痛み止めもロキソニンとかエスタックイブを服用していたのですが、聞いたこともないメーカーの薬に変更です。パッケージに書いてある成分表を見てみたらたいした違いがなさそうだったので。少し前にテレビで見た生理の貧困ってわたしのことだと思いました。男性には理解し難いでしょうが」

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 世間がコロナ慣れしてきたのか社会活動が回復してきたからなのか、事務系派遣で登録している派遣会社から求人情報が送られてくるようになった。

「正規雇用で働ければいいけど、まずは肉体労働の日雇い派遣から脱することを優先したいです。時給単価は1450円ぐらいですが倉庫作業よりはいいし」

 可能であれば地元の栃木で安定した職を得たいが、これも簡単ではない。

「母に地元の新聞に載っている求人募集広告を送ってもらったこともありますが、工場派遣や介護関係ばかりでした。以前は求人が多かった観光関係も今は駄目みたいでしたね。東京、神奈川で働けるところを見つけないと」

 今の状態は生活が成り立たないほどではないがギリギリ。仕事のない日はほとんど外出せずにラジオを聴いたり、図書館で借りた本を読んだりしている。他者との交流がないから孤立感も強くなっていく。

「金銭的な貧しさは精神的な貧しさ、疎外感をもたらすと思います。もう嫌だし、耐えられそうにもない」

 殊更にお金のことを言うと卑しい人間と思われることがあるが、やっぱりお金は大事だと思う。すべての幸せは金銭的な基盤があってこそだというのは言い過ぎだろうか。

「3、4日同じものを着ても何とも思わなくなった」生理用品まで倹約…日雇い派遣から脱出できない女性(29)の“ギリギリ生活”

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