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「税の電子申告では、ものすごく手続きが楽になりました。また、勤務先が自宅と違う自治体なので、マイナンバーカードを使うと職場の近くのコンビニエンスストアで住民票の写しが取れるようになりました。開庁時間に関係なく交付されるので助かっています。使いこなせば便利」と話す元市職員もいた。

 コンビニで住民票の写しなどの交付を受ける場合、市区町村の窓口より手数料が安い場合がある。マイナンバーカードの普及促進策で、政府が補助金を出しているのだ。

「手数料が10円という自治体もあります。無料にできないのは、コンビニに設置されている複合機はお金を入れないと発行できないからです。しかし、いつまで続けられるでしょうか。政府はこれからもずっと補助し続けるとは思えません」と、ある市の職員が指摘する。

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 期限を定めて「交付手数料割引キャンペーン」「窓口より○円お得」などと宣伝している市もある。

 課題がなくはない。「高齢者がコンビニで交付申請できるでしょうか。複合機の操作は店員に教えてもらいながらになると思いますが、忙しくしている店では気が引けるし、100円ぐらい安いだけなら市役所や支所の窓口で申請するのではないでしょうか」と、職員の一人は話していた。

 こうして窓口に行かずに申請や交付が可能になったものの、職員の間では「実際には来庁を促す仕組みばかり導入されている」という声が根強い。

忘れられているのはマイナンバーカードには有効期限があること

 オンライン申請と言いつつ、必ず窓口で手続きが求められる転入(転居)届はそのうちの一つだろう。政府は住民基本台帳の記載が各種行政事務の基礎になっていることから、「転入届出者の実在性・本人性を厳格に確認することが不可欠であり、対面で手続を行う必要がある」と説明している。

 意外と知られていないというか、忘れられているのは、マイナンバーカードには有効期限があることだ。カードそのものは発行日から10回目の誕生日まで(発行時に未成年だった人は5回目)、ICチップに“格納”されている電子証明書は5回目の誕生日まで。そのたびに窓口で手続きが必要になる。

 この時にパスワードを忘れていたら、再設定しなければならず、カードがどこにあるか分からなくなったという場合は、前出のように1000円の手数料が要る。無料での再交付は「返納」が条件だ。